【魚のいない水槽】
一応、念のため、もしかして・・って事もあるので確認なんだけど、監督の「清水崇」はあの「清水崇」で間違いないのかな?
ホントに?
どこかの映画同好会とかに所属している同姓同名の新人監督とかじゃなくて?
途中まで観て、このレビューのプチタイトルは「やっちまったな~」にしようかな~なんて考えてたんだけど、最後まで観て考え直しました。
「やっちまった」どころか、そもそも「何もやってないじゃないか」と(笑)
これは監督の責任なのか、脚本が泥なのか・・・
まぁ、ぶっちゃけどっちでもいいんだけど。
こりゃ酷い・・・。
結局、この作品の肝であろう「怪現象」の原因も目的も方向性も、さらにはそれによってもたらされる影響も何一つ見えないままの79分。
あえて主人公を特定せず、何となくアクティブに行動する数人がメインとなって動くんだけど、設定が雑すぎて79分という短尺を生かすどころか逆に自分で首を絞めてしまったような感じ。
それぞれの行動や考えがブレブレで彼らが乗る飛行機以上に乱気流状態。
映画を観続けるにあたって一体誰に着いていけばいいのか、結局最期までわからなかった。
乗客の一人が謎の変死をしたところからようやくホラーっぽいテイストを感じ始めるんだけど、全体的にぼやけているので、ところどころ差し込まれる「怪現象」も効果がない。
まるで太平洋に固形コンソメを一粒投げ入れたくらいに無問題(モーマンタイ)。
で、何故かメインの数名がグイグイと勝手な行動を取り始める。
「あの乗客が死んでから変なことばかりだ」
「あいつは何者なんだ?」
「よし、あいつの荷物を調べよう!」
・・・おいおい。
いくら映画でも、いくらパニックになっていても、そんなに非常識なことを次から次へと繰り出されても、肝心の「観ている側」が全然追い込まれてないのよ。
今のところ全く怖くないから、登場人物たちのパニック具合との温度差が激しいというか、全然彼らに同調できないんだよね。
そもそも主人公を明確にしていないから、軸もはっきりしないし、誰がどういう方向に導くんだろう・・・っていうリード(もしくは意図的なミスリード)すらも生まれない。
だから、途中から「ただ映像を見ているだけ」になってしまう。
これは理解としては「怪現象」「霊現象」のお話ってことでいいのかな?
・・・って思ってたところで、まさかのオチ。
え?そっち系?
・・・まあ確かにフリは何個か撒いてはいたね(それほど効果はなかったけど・・)。
ちょっと気にはなってたけど、まさかそれがオチだったとは・・・。
じゃ、結局途中の現象はなんやってん?っていう。
前半で伏線バラ撒いて後半で一気に回収でもいい。
最後まで首尾一貫して「不条理」でもいい。
ただ、「わけがわからない」だけは評価のしようがない。
唯一評価するならジェイミー・チャンは「エンジェルウォーズ」以来久しぶりに観たけど、彼女が一番この作品で印象に残った。結構好きかも。
結論としては「閉ざされた空間で起きてしまう集団ヒステリー」が一番怖いって事なのかもしれない。
いずれにしても「ホラーなのに怖くない」のは致命的だよ。