ハル

オール・ユー・ニード・イズ・キルのハルのレビュー・感想・評価

3.7
原作は日本作品との事だけど未読のため、あらすじ流し読み程度からの鑑賞。
端的に言うとゲームの『コンティニュー』を繰り返し、少しずつ前に進みながら最終的にエイリアンを討伐する物語。
ベーシックな内容としては本当にそれだけなので、タイムループする部分を除けば本当にシンプル。

シニカルに感じられたのはタイムループのトリガー条件が“死”だという事。
某有名作だと『手を繋ぐ』や『寝る』が条件なので恐ろしく厳しい。
やり直しをしたいときは毎回死なないといけない。
その為ループの経験者であるリタ(エミリーブラント)にその都度撃たれるケイジ(トム・クルーズ)
自分だったら2回目以降はもうリタイアして逃げる方に全力を尽くすかもと思ってしまった(笑)

また、戦闘スーツが思いの外アナログなのは斬新な演出。
VFXバリバリの非現実的な作りなのかと思いきや、重そうにガシャガシャ言わせながらみんな戦っている(装備を全て合わせると55キロあるみたいなので、実際滅茶苦茶重いですね)
泥臭いバトルシーンが逆に目新しさを醸し出し、やや見飽きてきた大迫力CGバトルに対する“敢えて”の演出は没入感を高めてくれた。

物語に深味があるかといえば、既定路線な感じだったけれど、中だるみしてしまう部分を端折りに端折っており、随所に工夫が凝らされているためスタイリッシュな仕上がりに映る。
野暮ったい部分は“退屈”の原因となるし、描かずともわかるシーンを高速で飛ばしてくれる配慮が嬉しい。

そして、トム・クルーズといえば自らこなすスーパースタントが代名詞。
当然、今作でも織り込まれている。
一番やばいなぁと思ったシーンは腕立て伏せから横に転がり、走行中のトラックの下を潜り抜けるシーン。
彼のことだから自分でやっているんだろうな…コンマ数秒ズレたら死ぬようなアクションを平然とやり遂げるのが彼の真骨頂であり、スーパースターである所以だ。(スタントマン使ってないよね?)

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はタイムループ系王道バトル作品。
トム・クルーズ主演である限り、彼のことを好きかどうかで楽しめるかどうかの大筋が決定してしまう作品なのは否めない。
とはいえ、作品の性質としては万人が楽しめる形のマイルドな作りにしている印象を抱いた。
難しい事を考えずともサクッと楽しめるタイプの一作。
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