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オール・ユー・ニード・イズ・キルのtakのレビュー・感想・評価

3.5
 トム・クルーズ嫌いを公言している僕なのだが、ついつい劇場で主演作を観ることが多い。話題作だからというのは理由のひとつ。しかし、トム・クルーズ主演のSF映画は(僕にとって)アタリが多い。キャメロン・クロウ監督の見事なリメイク「バニラ・スカイ」、スピルバーグの職人芸「マイノリティ・リポート」、H・G・ウェルズへのリスペクトを感ずる「宇宙戦争」、70年代SFみたいな絶望的未来観が面白い「オブリビオン」。どれも(世間では不評なのもあるが)けっこう好きな映画なのだ。日本のライトノベルを映画化する、ということも興味あったがトム君のSF映画ならおそらく満足させてくれるに違いない、という期待で映画館へ。

 侵略者からの攻撃を受け人類は苦戦していた。戦闘は全くダメだった兵士が、戦闘中にあるきっかけでタイムループする能力を身につけてしまった。彼は死んでしまうと、基地に送り込まれた日まで遡って生き返る。しかし過去の経験はそのまま。つまり経験値積みつつ、プレイを最初から繰り返せるような能力だ。経験は何事にも勝り、弱かった彼は次第に勇敢で優秀な兵士となっていく。戦闘中に同じタイムループを経験した女性兵士を知り、同じ事を繰り返しつつ、敵の本拠へ二人で攻撃を挑む。

 いかにもRPGゲーム世代が考えた話だな、というのが印象。輸血をされてしまうと能力を失うことになるから、中途半端に傷を負うことができない。途中で失敗したらリセット=死ななければならないのだ。タイムループを武器に幾度も同じ事を繰り返す姿は、コメディのようなおかしさとテンポのよさも加わり楽しく観ることができる。幼い子供って同じネタを繰り返すと笑ってくれる。観客の僕らも同じように楽しまされている感じがするのだ。

実写映画にゲーム的な感覚を取り入れるアイディアは押井守監督の方が先じゃねぇか、と日本の映画ファンには怒る方もあるかもしれない。だが、主人公に都合のいい結末といい、アイディアをハリウッド流にアレンジした本作は、翻案としては見事だろう。パワードスーツを身につけた兵士の姿は「エイリアン2」のシガニー・ウィーバーを思い出させる。思えばあれもジェームズ・キャメロンが日本のアニメにヒントを得たんだったっけ。ジャパンコミックの影響力。
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