アカデミー賞外国語映画賞を受賞した良質のポーランド作品。
修道院で暮らす孤児の少女アンナ。修道女としての祈願式の前に、唯一の親族の叔母に会うことになる。
その叔母から、思いもよらぬ真実を告げられる。少女の名前は「イーダ」そしてユダヤ人だと。
時は1960年代、戦時中に殺されたイーダの両親と叔母の息子の痕跡を探す旅に出るふたり。
モノクロの光と影が美しい。
敬虔で信仰の篤いイーダ。
感情をあらわにしない、少女の心の内は如何なるものか?
真実を知らず、神に仕える事だけをしてきたイーダが、自身のアイデンティティと向き合う事になる。
静かで多くを語らない映画の中に、ポーランドの歴史や1960年代の時代背景が、叔母の人生の中に色濃く見える。
戦時中のレジスタンス、息子の死、戦後判事として死刑を宣告する非情さ。
判事として成功しつつも、酒と男に溺れ自堕落な日々を送る叔母。
叔母の死後、修道服を脱ぎ世俗的な体験するイーダ。
そして再び修道服を身につけるラスト。決意を感じる表情に、イーダはどこへ向かうのだろうか?