回想シーンでご飯3杯いける

ダンシング・クィーンの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ダンシング・クィーン(2012年製作の映画)
4.0
まだこんな良作が隠れていたのか!韓国映画おそるべし!

'80年代の民主化時代に青春を過ごした中年夫婦が、各々遭遇したちょっとした運命のいたずらをきっかけに、新たな可能性に向かって挑戦していくサクセス・ストーリー。主人公の世代が「サニー」と同じで、作品を彩るポップな音楽やコミカルな脚本も雰囲気が似ている。

主演はファン・ジョンミンとオム・ジョンファ。オム・ジョンファはディスコ・クイーンとして青春を謳歌した思い出を胸にダンス・シンガーとしてのデビューを目指す。一方のファン・ジョンミンは(何故か役名も同じ)、何とソウル市長に立候補!

前半はかなりコメディ寄りで、正直不安もよぎる内容だったが、それらの小ネタが終盤の伏線になっていたとは驚き。しかも、ファン・ジョンミンが市長候補という事で、腐敗政治家や男尊女卑の風潮に対する鋭いメッセージを打ち出してきて、なかなか侮れない。終盤のスピーチは、妻に対する敬愛を交えたもので、胸が熱くなった。同じく女性の社会進出をテーマにしたインド映画「パッドマン」のスピーチ・シーンを彷彿とさせる、素晴らしいクライマックスだ。

オスカーを獲得したポン・ジュノのような社会派の監督が作る映画のみならず、本作のようななメジャーな作りの作品に於いても、社会派としてテイストを当たり前のように放り込んでくる。誰かが言っていた「パラサイトのオスカー獲得は、作品だけではなく、韓国映画全体の勝利だ」という話を思い出す。