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ポルチシの啞娘のout1のレビュー・感想・評価

ポルチシの啞娘(1916年製作の映画)
3.0
ロイス・ウェバーって、語り方が上手くないから、非常に見辛く、退屈する時間もあるのだけど、
エッジの効いたテーマ、カタルシスのない悲劇、裸の見せ方などのエログロさ等々、興味深い作品を残している。

本作も男性の髪型とヒゲが皆同じで人物が見分けにくいし、後半の秘密の通路等の舞台装置は活かしきれず、まとまりのないスペクタクルではあったのですけど、
カーペンターの『ゴースト・オブ・マーズ』のような串刺し生首が晒されるシーンがあったり、
赤ちゃんを壁に投げつけるシーンがあったり、
えげつない演出にはハッとさせられた。

そして何より本作は、映像に残されることを嫌ったとされるアンナ・パヴロワの唯一の劇映画出演作!
指先まで意識されたアンナ・パヴロワの仕草、立ち振る舞い、踊り跳ねる姿が、とにかく素晴らしい。
特に前半の恋する女を体現する軽やかな踊りや動きは最高でしたし、
またその時の彼女の表情も素晴らしい。

1922年に日本にも来日していて、芥川龍之介は「とにかく美しいものを見た」と述べたそうである。

20世紀初頭のロシアの天才バレリーナを見るだけでも価値のある作品と言える。
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