トドさん

チョコレートドーナツのトドさんのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
3.9
作中のラディが歌う曲がどれも心に沁みる。
哀愁漂う、でも逆境に負けない底力を孕んだ、中性的な素敵な声。

物語の主要人物たち三人は皆社会的弱者、そして異端者の扱いを受ける人たちだ。
二人の同性愛者とダウン症の少年。
社会の目はとことん彼らに冷たい。
理解を示し「誤った人が見たらあなたたちは終わりだよ」と助言してくれる人もいるが、少年マルコを引き取り家族になろうとする二人には法すら守ってくれない。

最後は、これでいいのかと思った。
でもすごく現実的な、映画のようなハッピーエンドだけで終わるんじゃなくて、夢物語の甘さと現実が見せる虚しさと辛さをちゃんと描いてる作品だった。
そこに「いつか、今こそ、私たちは解き放たれる!」って確信を持っているかのように歌い叫ぶラディの声や姿が、刺さる。

とりあえずサントラ買います。