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チョコレートドーナツのasaのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.3
血が繋がっているのが家族なのではなく、無償の愛があってこそはじめて家族になるんだな、と思いました。

マルコを引き取ってからの3人の生活は穏やかで、幸せに満ちていて、美しい歌声も相まって暖かい気持ちにさせてくれます。ハッピーエンドが大好きなマルコにルディが聞かせるのは魔法の少年・マルコのお話。ルディとポールにとっては、マルコが家族をくれた魔法使いだったのかもしれない。

しかしそこからの急転直下があまりにもキツすぎる。気持ち悪くなるくらいに!

法廷での「この世に、背が低く太った知的障害児を養子にする者はいないからです。私たちしか」というセリフ。かなり直接的なセリフで驚いたんですが、だからこそ、それでもマルコのことを何より大切に思う自分たちこそが親として相応しいのだ、という強い思いには心打たれました。

そして結末が悲しい。
この映画を観たからといって差別しなくなるわけでもないし、わたし自身本当に偏見がないのか?と聞かれたらイエスと言い切れるわけではないです。しかし生まれた結果がこれか……と思ってしまうと悲しくなりました。

わたしにとっては美しい愛を感じつつも何が正解なのかがわからなくなる映画でした。正解なんてないのかもしれないけど。
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