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チョコレートドーナツのshinoのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.4
"ここはおうちじゃない。"

最近アフリカの停電と断水地獄をもろにくらっていて、せめて電気があるときはハートウォーミングな映画を観て元気だそうって思っていて。
この映画も最初は、同性愛カップルのほのぼのハートウォーミング分類だったんです、私の中では。
流れた涙の分のポカリスエットがほしい…うぅ断水…涙

ゲイバーでパフォーマーとして働くルディと、地方検察官として同性愛者であることを隠して生きてきたポール。その二人が薬物中毒の母に育児放棄されたダウン症のマルコという子どもを引き取り、3人で小さな温かい幸せを築いていたが…

ルディとポールのカップル、二人ともセクシーでとってもお似合い。
特に主役のルディを演じるアラン・カミングから溢れ出るフェロモンとオーラ…!彼の魂がこもった歌はずっと聞いていたいくらい…
本人もバイセクシャルであることをカミングアウトして、二回目は同性婚だとか。

一つの迷いもなくマルコに手を差し伸べ、偏見の壁を越えられないでいたポールの背中を押した…ルディのように私にも、フラットでいられる強さをください。

何かを定義づける時、必ず「原則」ってつけたくなる人の心理。
何事も一概にこれだけが正解とは言えないってみんな分かってるはずなのに…
いざその例外を目の当たりにして、それがどうやら最善らしいと気づいたとき、
「待て待て違う…そんなはずない」
って正当化したくなるのが偏見のはじまりなのかもしれない…

…もういいじゃん放っておいてよーー!!マルコもみんなもそれで幸せなの!!自分のエゴで邪魔しないで!!って色んなものを画面に投げたくなりました。

最後ポールが送った手紙。
ルディが力強く歌い上げた歌の意味。
ハッピーエンドのお話が好きだったマルコ。

3人の幸せだった日々とその結末が、周りにどんな影響を与えたんだろう…
それでも偏見って気づかないうちに自分の中にふつふつ生まれてしまうものだから、いつもフラットでありたいって、それだけは強く思っていたい。

余談ですが…
アフリカにいるととてもモテます。I love youとかMarry meなんてHow are youくらいの軽さなんじゃないかって思うくらいでたまにFineって答えそうになります。笑
それを断ると彼らは、自分の肌が黒いからか?だからダメなのか?って言ってきて何とも言えない気持ちになることもしばしば。

違います。そんな会ってすぐ口説いてくるような男は信用ならないからです。それにそっちも私の肌の色で言ってきてるんじゃない?なんで結婚したいか言ってみて。という英語を練習しました。笑

そう返すと苦笑いされて、もうちょっと個人と個人の話ができるようになって嬉しい。

「人」と「人」の付き合いがもっと密にできるようになれば、ゲイとか、黒人とか、世間が決めた疎ましいくくりがなくなるのになーって日々考えたり…でも難しいよねってへこんだり。そんなのの繰り返しです。
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