菩薩

チョコレートドーナツの菩薩のレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.1
結局のところ社会にはくだらない理想論とクソみたいな現実論しかないから、世の中はいつまで経ってもくだらないクソみたいなもんなんだと思う。人は皆誰かが誰かの異端審問官で、自分とは違う者、社会の中で「普通」とは違う者に「異常」のレッテルを貼り付けて、恐怖し、排除し、傷つけ、そうやって壊して殺していく、社会の「普通」ってのは、常にそうやって保たれて来た。だから「普通」側の人間達は、どうしたって「異常」側に立てない、綺麗なドーナツを生み出すために、捨てられていく真ん中の気持ちになれないし、捨てられて行った先でなんとか身を寄せ合ってギリギリのところで生きている人達の気持ちになんて絶対になれない、自分がそこに堕ちるまでは。人の痛みに鈍感で、人の不運に我関せずで、人の不幸は知らんこっちゃで、みんな可愛い可愛い自分を守るので必死で、責任から逃れるのに一生懸命、そんなくだらないクソみたいな世の中の「普通」ってのは、これからもなんだかんだ保たれていくんだと思う。ただはっきり言わせてもらうが、俺にとっちゃそんな絶望的な社会の中でヘラヘラと笑っていられる奴らの方が、よっぽど「異常」に見える。って、結局自分自身が無力な異端審問官に成り下がっていつもこの自問自答は強烈な自己嫌悪と共に終わるわけで、どうあがいても俺は一生綺麗なドーナツにはなれないな。差別って知ってしまった時点でどうしても始まってしまうから、むしろ知らない方が良いのかもと思う事があるけど、でも知らないとその人の苦しみにはどうやっても辿り着けない訳だし、やっぱり知る事自体は罪じゃ無いと思う。本当の優しさってどっから生まれて来るのかって言えば、結局生きていく辛さを知る事からだと思うよ、それはきっと弱さでは無いし。人生をハッピーエンドにする為の方法なんていまだに何一つ分かりゃしないが、誰かのすっぽり空いた心の穴を埋める存在になれたら、それが一番幸せなんだろうね。まとまらないのでもう放棄、とにかく俺は冷たい奴は嫌いなんだ…。
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