TBear

チョコレートドーナツのTBearのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

映画天国で放送されたものを録画して鑑賞。2018年36本目。

不条理と差別社会。1979年当時は当然現在のように比較的LGBTに対する理解がない社会。
ゲイバーでドラァグクイーンとして働いていたルディは、検事のポールと出会い恋に落ちる。

ちょうど同じ頃、ルディの隣人の女性が薬物使用で捕まり帰って来なくなる。隣の部屋から絶えず聞こえてくる大音量の音楽に痺れを切らしたルディが隣の部屋を訪れると、ダウン症の少年が1人取り残されていた… ルディとポールのカップルは、少年マルコの親権を獲得するためにお互いに犠牲を払いながら、戦い続けるのだが…

差別と偏見だらけの世界では、本当に残念なことにルディもポールもマルコも報われない結末が待っています。

もし彼らが現代社会で同じように裁判を起こしていたら、勝訴してマルコの親権を獲得していたのかもしれません。マルコと共に暮らすことを強く願った2人のためにも、マルコのためにも最善だったルディとポールの親権獲得は最後まで叶うことはありませんでした。

誰も引き取り手が来ない施設で一生過ごしたり、薬物まみれでまともに世話をしない実母のもとで暮らすよりも、愛情溢れるルディとポールのもとで暮らすのが良いのは明白なのに、社会はそれを許さなかった。同性愛者だから。たったそれだけの理由でルディとポールとマルコの幸せは奪われてしまった。ルディは念願叶って歌手としての活動を始めるのだが、そこにマルコの姿はない。

最終的に実母に引き取られるマルコですが、ルディとポールを求めて徘徊した末に命を落としてしまいます。これからルディとポールがマルコに再会することは一生叶わない。とても悲しいです。黒人弁護士が言っていた”time is the great healer”という言葉。本当に2人の心の傷を癒すのは時間だけになってしまいました。色々と考えさせられる映画でした。
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