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チョコレートドーナツの小のレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.1
新宿ピカデリーの爆音映画祭で鑑賞。歌や音楽、ドンドンとドアをたたく音など、爆音で味わうべき要素もあるけれど、同性愛への差別と偏見が根強い1970年代のアメリカで、ゲイの男性が育児放棄された障害児を育てたという実話から着想を得たというストーリーが良かった。

まず、家族って何?って考えてしまう。法的には血縁でくくるのがメインで、それが世の中のデフォルトでもあると思うけど、人間は自分の遺伝子を持つ子どもを必ず守ろうとするなどの本能が壊れているからややこしい。

たた、本能は壊れているだけで、なくなってはいないから人間はどうしても本能に引っ張られる。同性愛は生産性がないからダメだと言う国会議員がいたり、親が子どもを虐待しようとも家族のことだからと、子どもを助ける立場にある職に就いていたとしても、立ち入ることを避けてしまう。

そこをなんとかしようというのが教育などによる理性の力なのだろうけれど、理性が本能を自分の側に引き寄せるにはかなり長い時間がかかるし、時に本能の側への揺り戻しもあるような気がする。

本作を観ていると、人間は理性(人間性と言ってもいいかも)と本能との間で葛藤し、理性が本能を乗り越えたときにカタルシスが得られ、残念ながらそれができなかったとき悲しみを感じるのかもしれない、というような気がした。

●物語:4.2
・アメリカ映画らしからぬラスト、嫌いじゃない。

●他 :4.0
・キャストがはまり役かと。歌も良かった。
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