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フルートベール駅でのyksijokiのレビュー・感想・評価

フルートベール駅で(2013年製作の映画)
4.0
救いのなさが異常値な一本。
若干あらすじを読んでいたことで冒頭の映像で最後に待つ結末が鮮明に焼き付き、以後はずっと脳裏によぎっている状態。気持ちのやり場がなく辛かった。

マイケルBジョーダン演じるオスカーとその家族の年をまたいだ1日を淡々と見せていく中でオスカーが何回か車に乗って移動する。そこでの彼の表情が間に起きている出来事によって全く違うものになっている。生活が苦しく、家賃を支払うためにクスリの売人をまたやることにした時の車内での表情がもう可哀想で可哀想で。お母さんの誕生日プレゼントにカニを買いにいく時の表情、娘と妻と乗っている時の表情がすごく素敵な笑顔であることとの対比が凄く辛かった。

親子ではしゃいでる時の素敵な表情がフラッシュバックしてくるたびに胸が締め付けられるような気持ちになったし、ラストのタチアナちゃんの「お父さんはどこ?」というセリフも。。
何でこんな事が…。という思いが拭えないまま終わってしまった。

上映時間が100分ちょっとで無駄なシーンは一つもなく、どれも彼にとっては「残りの人生のはじめの1ページ」だったはず。追い込まれながらも確かにそこにある愛を大切にしながら生きようとしていた若き青年を襲った悲劇。忘れてはいけないからこそ、こういった形で映画にしてくれたライアンクーグラーに感謝したい。
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