たんさ

プリズナーズのたんさのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.7
各分野で最も優れた者達が集うヴィルヌーブ組が本気でサスペンスを撮った結果….

この映画のミステリアスで不気味な雰囲気の演出は神の域にまで達しており、それは様々な要素が絡み合うことで形成されている。言わずもがな2018年にこの世を去った、近年で最も優れた映画音楽作曲家の1人であったヨハン・ヨハンソンの貢献は大きい。彼の低音を基調とした、弦楽器とエレクトロを融合した特徴的な音楽は正にこの作品の世界観を表現するのに適していた。的確にその世界観を捉えたスコアは、我々の感情や気分を自由自在に操る。そしてこの優れたスコアと共に脚本、撮影そして俳優(ポールダノとダストマルチャン)もその雰囲気たらしめるのに大きく貢献している。

こんなに密度が高く中弛みの無いサスペンスやミステリーの脚本は今までにあっただろうか。展開が進む頻度が非常に高い。新しい種が続々と撒かれる。集中が切れる隙がなかった。圧倒的な没入感を味合わされた(もちろんこれはロジャーディーキンス撮影監督による我々を画面に没入させる方法を完璧に理解した構図・カメラワークによる貢献も非常に大きい)。この様な高回転率の構成に対し、単に我々を長い間惹きつける為の、その場凌ぎの特別意味が無いものであると感じる人も居るみたいだが、全くもってそうでは無いと断言する。実は私もその様な高頻度のストーリー進展、例えば犯人に思える様な人物が続々出てきたり、発言や物的証拠からくるミスリードなどが多く、それらを我々を飽きさせない為の、結果的には特に意味を持たない描写なのだろうなと勝手に決めつけていた。だが間違っていた。終盤に、それら全てが意味を持ち、それらは複雑に絡み合っていた事が判明した。あの表面的な意味そのまま受け取ればいいであろう何気ない描写も全て意味があった。なんて計算されつくされた緻密な映画なんだ。これに「宗教」という独特で異様な雰囲気を醸し出す事が出来る要素を巧みに落とし込み、そのミステリアシーを極限にまで高めるとこの映画は更なる変化を遂げ、唯一無二の存在になる。

他のユーザーの感想・評価

くしだ

くしだの感想・評価

3.8
見直し
留学中に初めて見た映画。なんかエンディングが覚えてたものと違くてあれ?ってなったけど多分見間違いなのかな
兎に角ずっと不穏な空気で演技も上手いからずっと過呼吸になる前の状態みたいな感覚でいられる映画
俺は好き
A8

A8の感想・評価

-
ある日突如として誘拐された娘、愛するものを救うためヒュージャックマン演じる父が命をかけて探し出そうとする、そしてついには法や倫理感まで一線を超えていく、、
ヒュージャックマンの血気迫る演技は目を見張るものがある。だがそれ以上に印象的だったのは刑事を演じたジェイクギレンホールの何を考えているかわからない雰囲気漂うが犯人を見つけるために全力をかけている相反するようなものが共存していた。それがこの刑事の性格や個性を自分のものにしていた姿は素晴らしかった。
どんよりと曇っている天気、嵐のような豪雨、凍てつくような寒さ、、この作品の不穏な空気をうまく作り出していた。
簡単にはいかないオチは素晴らしいと思った。
Periko

Perikoの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

緊迫
どんでん返し
おばさんが犯人だったし、なんならいなくなったはずのバリーくんは容疑者だと思ってたアレックスで、26年間別の人間として育てられてた。
ヒュー・ジャックマンと、ジェイクギレンホールの人間味のある演技は最高でした
りた

りたの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ドキドキハラハラのあっという間の2時間半!
これは面白いサスペンス。
色んな伏線が張り巡らされていて、気をつけないと見逃しちゃう。

DUNEもメッセージもこの監督の作品なのかとびっくり。それらの作品とはまた全然違った印象。
宗教映画ということでキリスト教に全く造詣のない私は鑑賞後考察を見ました、なるほど…と思うことばかりで本当に有難い😂
知識のなさ😂
笛については最近タイタニックを見たばかりだから、見た瞬間吹いて!!って思っちゃったけど、キリスト教的に祈るってメッセージも込められてるのかと…

娘のためにどこまででも行動してしまう父親の気持ちも分からなくもないから苦しいな…

ロキ刑事役の方がめちゃくちゃかっこよかった…乱れた髪のセクシーなこと…

このレビューはネタバレを含みます

配信のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督特集で本作を見つけて鑑賞。見応えあるサスペンスで面白かった!娘たちが行方不明になった家族の悲劇を描いているが、事件が発生してからラストまで気の抜けない展開が続く。容疑者がすぐに捕まるが、証拠不十分で釈放される。容疑者が犯人と信じて疑わない父親はその容疑者を監禁して拷問する。このありえない展開で観客の正義に対する倫理感を刺激する演出は見事。家族側と司法側のズレは万国共通だと思う。憔悴していく家族もリアルだし、さらに怪しい人物の登場での盛り上げ方も流石。さらに出演者の素晴らしい演技が作品に緊迫感を出している。ヒュー・ジャックマンの鬼の形相の激しい演技は父親の悲しみ、焦燥を上手く表現していたし、いかにも犯人というような人物のポール・ダノも雰囲気抜群。さらに優秀な刑事役のジェイク・ギレンホールの正義感がみなぎる、熱い演技が見事だった。最後の最後までハラハラ・ドキドキが続くし、ラストも希望が持てる感じで良かった。出演者の凄い演技と重厚なサスペンスが味わえる傑作。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は当たりが多いな。最近SF続きなのでSF以外を撮って欲しいかな…。

このレビューはネタバレを含みます

終わり方めっちゃすき
ウオー!そこで切るか!!!っていう
最後にまたタイトル出るのもいいな
cu

cuの感想・評価

4.0
お昼休憩のお供に見始めて、食事中に見るには不気味だからやめようと思いながらも惹き込まれてやめられないくらいにおもしろかった。終わり方も好き。
宗教に詳しくないから何度か理解に苦しんでたけど、考察を読んで伏線がたんまりあったことに気づけてよかった、
また見ようと思うけど精神が不安定なとき以外じゃないとダメだな
りた

りたの感想・評価

4.2
ドーヴァー家とバーチ家は感謝祭を祝っていた、両家の娘が忽然と姿を消してしまう。容疑者としてアレックスが拘束されるが、証拠が不十分の為釈放されてしまう.......ドーヴァー家の父親ケラーは、アレックスを監禁し超えてはいけない一線を超えてしまった。
事件解決に奔走するロキ刑事、優秀な彼は真犯人を突き止め幼い娘たちを家族の元へと返すことが出来るのか。


なに..............これ。良い。長編とは思えないほど惹き込まれるのであっという間。完成度が高くて、最後までしっかり頷けてしまう緊張感保てるスリラーなの凄く感謝です。
日が経つにつれ薄れていく希望、家族を絶望が襲う。正直母親の心境は見ていられない.......辛い
誰が犯人かは最後まで観ないと分からない仕様になっているのが面白い、アレックスの知能が10歳程度というのでもしかするともしかしないのかずっと翻弄されてしまう。

疑いだしたら拉致があかないのがこのジャンルの良いところ。
ケラーが落ちぶれていくのがまた最高でした。

ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール二人共本当に味わい深かった(やめな)。
じゅり

じゅりの感想・評価

3.6
拷問シーンがキツすぎて苦しかった
愛する子どもを誘拐されたら、ああいう親の気持ちは分からんでもないけど…

犯人が誰なのか、子ども2人はどこにいるのか全く分からなくて面白かったし、あっという間だった

ラストここで切るの!?っていう終わり方で不思議だった
感謝祭の日、友人宅で家族ぐるみのパーティーを行っていた父親だが、娘とその友人が失踪したことで悪夢が始まる。彼は、娘が近づいたバンの運転手が犯人ではないかと睨み、逮捕しておかない警察に業を煮やす。一方、事件を担当する刑事は、他に容疑者はいないかと情報を探っていく。

面白いサスペンスではあると思うが、正直なところ、期待していたものとはちょっと違ったかも。とにかく暗ーい…何が真実かも分からない迷宮に閉じ込められるような鬱々としたドラマかと思いきや、謎を謎のままにせず、大体回収していくミステリーだったから。そのため意外と後味は悪くない。
ストーリー自体はそう入り組んでいないが、演出と俳優の演技で観客を取り込むのが上手い。特に刑事役のジェイク・ギレンホールに深みがある。まあそれでも二時間半は長いし、種明かしが少々雑な気もしたけれど。あと信仰が一つのテーマっぽいけどそこはあまりフォローされてないような。
「プリズナーズ」の感想・評価を全て見る

たんささんが書いた他の作品のレビュー

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.7

これが社会派映画の正解
映画史を変えた世紀の大傑作
社会的題材の娯楽への落とし込みに最も成功した作家性炸裂SF映画

1. 多様性と宇宙
2. 同時的時間描写の視覚的快楽
3. 跳躍的尻穴棒挿入
4.
>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.7

淫らで精神疾患のある中年女性の人生とそれを取り巻く映画館での人間関係を一貫した落ち着きと静寂を重んじる演出で魅せる

映画館でバイトしてる身として映画館という職場におけるドラマに興味があり、そして最も
>>続きを読む

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

3.9

「あれ、少佐どこ...?w」

核戦争に発展し地球が破滅するかもしれないという尋常じゃない緊迫的状況の中終盤に挿し込まれる、絶対に笑ってはいけないだろうとある人物に不幸が訪れるシーンにこれ以上無いほど
>>続きを読む

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(2003年製作の映画)

4.1

死刑制度の可否とサスペンスと哲学を織り交ぜた、緻密な脚本に圧倒されてしまった。死刑や死そのものを哲学に落とし込んで語られていた意味を結末で理解した。伏線になる数々のシーンがミスリーディング的役割と本質>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.0

天才俳優達の演技を拝見

確かにアンソニーホプキンス演じるレクター博士の気持ち悪くて恐ろしく、そしてどこか知的な表情と喋り方は天才的だった。鑑賞中彼がしばらく出てこないと早く映して欲しい気持ちに駆られ
>>続きを読む