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プリズナーズのよへのネタバレレビュー・内容・結末

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ある日、突然、ヒュー・ジャックマン扮するケラーの娘とケラーの友人家族の娘の二人が誘拐された。現場付近の不審なRV車を手がかりに、それに乗っていたアレックスが逮捕された。しかし、アレックスは10歳程度の知能しかない知的障害者であり、いくら尋問しても暖簾に腕押し。しかし、釈放直後にケラーから突然胸ぐらをつかまれると、「僕がいる間は泣かなかった」と呟いた。この言葉は警察にはまともに取り合われなかった。そこでケラーは、アレックスを昼夜見張ることにした。夜中に犬の散歩にアレックスが出かけ、歩きながら、娘の替え歌を口ずさんでいた。ケラーはすぐ捕まえた。問い詰めた。なぜだ。また暖簾に腕押し。ケラーは、今は誰も住んでいない実家にアレックスを監禁し、拷問し、暖簾に腕押し状態のまま、拷問がエスカレートしていった。同じく娘が誘拐された友人にも協力を仰いだ。娘を見つけるために渋々協力したが、あまりに拷問が痛ましくなってくる中、友人はその妻に相談した。その妻も反対の思いで現場に同行した。アレックスに襲われて逃げられそうになった。その妻は黙認するよう夫にせがみ、奇しくもケラーとその友人夫妻で、3人の共犯体制ができあがった。
2時間半にも及ぶ映画だが、ミステリー要素も巧みであり、あっという間だった。終わり方も見事だったが、やはり終わった後に、どんより心に残るものがあった。

自分が、ケラーだったら?その友人だったら?その配偶者だったら?
私はケラーだったら、もっと警察から信用されるような行動をもっと取るようにしていたと思う。その上で、警察が取り合ってくれなければ、自分もケラーと同様に独自の行動を起こすと思う。いや、起こしたいと思う。捜査にも繋がるよう、録音などの工夫もするだろう。娘の替え歌が録音できれば、有力な情報になる。
その上で、私はこう思う。アレックスは実際に誘拐に一枚噛んでいた。知的障害者であり、錯乱している様子もあるため、理路整然と尋問は成立しないとは思う。しかし、拷問したらもっと答えるはずだ、現実の世界なら。あれほど暖簾に腕押しということはあり得ないと思う。顔に残るような拷問はリスクだ。雑巾に水を含ませて、溺死の危機を作り出すことが有効だと映画で見たことがある。米軍の特殊部隊が行う手法だとか。そうした方法で無理なら、一度、立ち止まって考えたほうが良い。暴力がエスカレートする、ということは、私はないと思った。しかし、そういう冷静さがある限り、警察にお願いしたり、文句を言ったりする小市民にとどまう人物に自分自身が思えてしまって、それも嫌だ。

要するに、これはよい映画だった。「グレイテスト・ショーマン」でも見事に歌い演じ切ったヒュー・ジャックマンは、やはり格好良いということだ。
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