ねぎおSTOPWAR

プリズナーズのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.2
<私的主演男優賞>
<私的助演男優賞>
<私的脚本賞>を差し上げたい気分です。

特に脚本。鹿ハンティングは感謝祭のため・・と見せてその実ヒュージャックマンの過去や因縁を刷り込む。
児童好き神父の家からは迷路ペンダントのあのオヤジのミイラ死体。あれだけ見せられているのに迷路が出てきたときには気づけない。
さらには「16人行方不明」だとあれだけ刷り込まれていても、アレックスの秘密が新聞記事でようやくわかる。
・・これらもちろん監督の演出、編集もあるけど脚本賞!


《ドゥニヴィルヌーヴ監督について》
「灼熱の魂」含めあと三本観ないとコンプリートしませんが、これがドゥニさんのハリウッドデビュー作だそうで。そして「複製された男」と製作年が同じ。共にジェイクギレンホール。そして彼の表情で終わる終わり方が一緒。
直観的にはどこか異質な感じを受けました。

今作でへーっと思ったのが他作と異なる間の取り方。例えば「複製された男」で教室に入ってくるシーン、「ブレード・・」でハリソンフォードの屋敷一連のシーンなど、まず見せて、ゆっくり近寄ってくる。一方こちらは扉開いてバーン!みたいな役者の演技で絵をつなぐような描き方が多かった印象。
また、今作では肝心な場面(というのが適切かわかりませんが)で、先が見えたらすーーっと黒味にしちゃうんですよね。アレックスが救出されるシーンもそう。だから誰も彼の救出見ていませんよね。でも知っていますよね。こういった手法が数回。
本編の尺を考えて編み出した策かもしれません。編集マンのセンスかもしれません。ただこれ、まるで目を瞑るような感じで結構気に入りました!
この理屈で言うと、最後のホイッスルにようやく気付いたところで、すーーっと終わるのは全編通して共通のシーンの終わらせ方と言えるかもしれません。

あるいは私の受けた違和感は、同時期の「複製され・・」はカナダ製作でこちらはアメリカ製作。プロデューサーの意向、キャスティング、そして契約の細かさは当然アメリカの方が上。ドゥニさんの本領が発揮されたのは「複製され・・」の方かもしれませんね。