荒野の狼

ジュラシック・ワールドの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)
3.0
2015年公開の「ジュラシックパーク」シリーズの第四作目で125分の作品。本作では、過去にあったことが軽く触れられる程度であるので、独立した作品として、シリーズの他の作品を見なくても楽しめる内容。ただ、最終版に登場するティラノサウルスは、以前にシリーズに登場した個体と同一という設定だが、本編中では、その情報を強調することがないためシリーズの相当なファンでなければわからない(首の傷から個体のが判別できる)ものであり、一般の視聴者には普通のティラノサウルス以上の意味は持たない。
シリーズの楽しみは新しく登場する恐竜であるが、本作ではティラノサウルスの遺伝子をベースに遺伝子改変で生まれた新種の恐竜「インドミナス・レックス」 。こうなってしまうと、ゴジラなどの怪獣とかわりがなく、シリーズの特性を消してしまっており失敗。インドミナスは外見上はティラノサウルスと見分けがつかず、両者の対決シーンでも見分けがつかず失敗している(設定ではティラノサウルスより大きいことになっているが画面上では同サイズ)。インドミナスの唯一の魅力はカメレオンのように周囲と同色に色を変える「擬態」をみせることであるが、この設定が生きたのは一回のみで、「擬態」の習性が明らかになってからは、「擬態」することがないという期待外れの展開(せっかく「擬態」という伏線を貼りながら生かされていない)。
本作ではじめて登場する海棲爬虫類モササウルスは巨大で魅力的ではあるが、名前のついた登場人物の女性をはじめて食べたというレッテルがついてしまった。このシーンは不必要に残虐で、不快感しか残らない。ジュラシックパークの出演者であったサムニールも「彼女が一体何をしたのか?頻繁に電話をかけていたことが罪なのか?」と疑問を提示している(モンスター映画の決まり事として悪人が怪物にむごたらしく喰われる)。
ストーリーの展開としては、以下が欠点:恐竜の登場が遅すぎる。インドミナスを当初、出し惜しみして期待を持たせながら、実のところティラノサウルスと区別がつかないという失望、不要な二組の大人の恋愛のサイドストーリー(お決まりで展開が読めてしまう上、時間のムダで映画のスピード感と緊張感がなくなってしまう)、中盤から後半部がやや冗漫。
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