イチロヲ

徳川セックス禁止令 色情大名のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
姫(杉本美樹)の結婚相手に選ばれた女嫌いの田舎大名(名和宏)が、フランス娘(サンドラ・ジュリアン)から性の歓びを伝授されたことにより、セックスの独占欲に駆られてしまう。セックス禁止令に翻弄される人々の姿を描いている、東映ポルノ時代劇。

日活ロマンポルノ裁判で、日活の弁護側に立っている鈴木則文監督が、アンサーを込めて製作した作品。表面上はエロバカ映画だが、現実世界に通じる反権力闘争が根底に沈められているため、カルト人気の意味を推量することができる。

本編にて、ひときわ異彩を放っているのが、池島ルリ子の割腹シーン。瑞々しい乳房を露出して、腹を掻っ切ると、滴る鮮血と同時に、恍惚の表情を浮かべる。エロス的要素はどこにでも含まれていることを、意図的に示唆させている。

「権力をマヌケな手法でコケにすると、それを封じ込めにくる権力がもっとマヌケに見える法則」を、うまい具合に利用している作品。余談だが、監督は姫役に渡辺やよいを推したが、お偉方に却下されたそうな。個人的には、渡辺やよいのほうで観たかった。
イチロヲ

イチロヲ