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シンプル・シモンの&yのレビュー・感想・評価

シンプル・シモン(2010年製作の映画)
4.0
【2014/7/14:ユーロスペース】
アスペルガーのシモンが宇宙船の外側を知っていく話かと思いきや、みんなが自分の外側の宇宙を知り、少し優しくなったり、大人になったりする話だった。豊かな気持ちになれる小品でした。
2014年現在、フツーに生きてるだけで充分宇宙の旅。そんな宇宙空間を切り拓くかのようなイェニファー(ローラ似)の小さな金言の数々はとっても力強く可愛らしく、魅力的。
サム兄ちゃんも超いい奴。というか出てくる人たちみんないい人で誰も悪くない。でも、みんなほんのちょっとずつダメで。
みんないい人なハートフルストーリーって苦手ですが、これはサムの元カノの存在がほどよく効いてる。彼女は全然悪くないし(わたしだって彼氏の弟がシモンだったら家出るわ)、でも悪意はなくとも、シモンたちの優しさ100%なサークルの外側には元カノや両親みたいな世界(というか世間)が必ず存在するわけで。それをハートフルとか正しさとかでオチをつけず、「紛れもなく在る事実」として逃げずに描いてるとこが共感できた。これでもしシモンの説得で元カノが戻って云々…とかなら興ざめ(だけどそういう作品ってホントに多い!辟易!)。
シモンの職場の風通し良さげな感じとか、「わたしはアスペルガーです」に対する「だから何?」って答えとか、さすがは社会保障至上な北欧だなと。日本だったら「それ何?」になるはず。
見せ方によってはエグくなりそうなところもIKEA感濃厚なシャレオツ効果で軽減して観やすく仕上がってる、かな。わたし個人的にはFLYING TIGERみたいなゴチャゴチャ感にやや疲れましたが。
そして何よりも、映画をとても愛してる人が作ったんだろうなあ…ということがバシバシ伝わってきたことが良かった。そういう思いを持った人が作った作品が、悪いわけないよね。
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