DJりん

シンプル・シモンのDJりんのレビュー・感想・評価

シンプル・シモン(2010年製作の映画)
4.2
とても綺麗な作品。
まずこの作品には今までの作品とは一線を画す様な演出が多々あり見ていて面白いなと思うと同時にあまりの綺麗さに引き込まれる部分があった。
ストーリーが面白いのは勿論だけれどそれを差し引いて見ても充分楽しめる作品のように思えた。
それにこれはあまり作品には関係のないことだけれど出演者達がほぼイケメン、美女だったので殆どストレスを感じることなく最初から最後まで見ることが出来た。
私が思うにアスペルガーの主人公シモンと兄の恋人候補であるジェニファーが分かり合えたのはジェニファーがアスペルガーであるシモンを自分と対等な存在として見ていた部分が大きいのではないかなと感じた。
シモンの兄サムもシモンを大切に思っていることには間違いないけれど、恐らくシモンの障害の方に目がいってしまうあまりシモン自身と向き合うことをずっと昔から避ける様になってしまっていたのではないかなと思った。
だからこそジェニファーの様に他人から見れば一風変わってはいるけれど思いやりを感じられるようなことをされてもいつしか素直にそれを受け入れてあげることが出来なくなってしまっていたんだろうなというのが容易に想像出来た。
これは長く一緒にいるから本当に仕方がないことだけれど障害を持っているから自分より劣っている。だから自分が守ってやらなきゃ、側にいてやらなきゃっていう愛情よりも義務感みたいな感情の方がサムにとっては大きくなってしまっていたように感じられた。
しかしシモンを対等な1人の男として見てくれるジェニファーと出会い、彼女のシモンへの思いに触れたことでようやく少しはその義務感から解放されたんじゃないのかなと思った。
だから多分この兄弟に必要だったのは無理して我慢してまで一緒にいることではなく、お互いに好きではいるけれどそこまで無理してはくっつかないということだった様に思える。
そしてジェニファーという本当の意味でシモンを理解してくれる新しい理解者が現れたことでこれから少しずつシモンとサムの関係もより良い物に変わっていく気がした。
所々で挟まれる演出がとても綺麗でその度引き込まれたし、ストリー1つ取ってみてもとても斬新で面白い物だったのでまだ見ていない方には是非オススメしたい作品だった。
DJりん

DJりん