MayuShimada

ノア 約束の舟のMayuShimadaのレビュー・感想・評価

ノア 約束の舟(2014年製作の映画)
4.0
なかなか興味深い。そしてキャストが何気に豪華!

遠い昔から、ちょっとひねくれた芸術家たちが聖書の記述とは違う自分なりの解釈を加えた宗教画を描き、依頼主に怒られたり受け取り拒否されたりしてきましたが、ダーレンさんもどうやら「俺のノアの方舟」をつくってしまった模様。

関係各所に怒られるかどうかは私には良くわかりませんが、聖書のあのなんの感情表現も書かれていない淡白な感じよりも百倍ぐらい人間臭いノアとその家族たちが見れてけっこうおもしろかったです。

聖書の方だと最初から人間もつがいで船に乗り込むんですが、この映画だとその部分がダーレン節になっていて、神様が大洪水で綺麗さっぱり滅ぼそうとした人間がいったいどういう生き物なのかが生々しく描写されることになりました。
私としては、船のなかで起こる"なんやかんや"もぜーんぶ神様の想定内だったんだろうなーなんて思いましたが。

っていうかさ、他のものは美しく完璧に作れたのに自分(神)に似せて作った人間だけどうも失敗しちゃったみたいって時点で神様ですら完璧な存在ではないんじゃないか逆説的~とか考える私は罰当たりでしょうか。
すまん神!でも私が反抗的なのもそもそもあなたが人間を作ったからなんだからな!笑

私の↑↑の発言のように、映画の登場人物たちもそれぞれ自分の哲学を持っていて、その哲学が、現在の私たちにもそれぞれ違いがあるように、信仰心や神様に対する態度の違いとなって表れています。
その辺がまた、共感ポイントというか、旧約聖書の時代であっても深く信じる人とそうでない人といたんだろうなと思うポイントな訳です。

キリスト教というかどっちかっていうとユダヤ教ベースの映画かもしれない、と思ったのは腕に蛇の革を巻いてたから。
とは言え、その時代にそれは存在しなかっただろってモノも登場したから、単なる聖書の内容の再現ってだけではないようですね。

話のオチ方はですね、今のご時世ちょっとそれは炎上するかしないかギリギリのラインだな!みたいなこと言ってはいるんですが、でも後味悪くはない。
神様が人間の存在を帳消しにしなかったのは、人間が自分の意思で、それが善か悪か、決められる能力があるからだって言うのはとても良い考え方だなと思いました。

でもですね、ちょっと理想的すぎる。そこが炎上疑惑ポイントでもあるんだけど。
私は人間も自然淘汰される対象の1つだと思っているので。ここのところの、新しい命を宿さない恋愛が認められるようになってきたり、結婚しない、子供を持たない選択をする男女が増えたりしてるのは、自然淘汰の過程に実は入っているってことなんじゃないかなーとかって思ってる。
冷めてるよね~
インフェルノのゾブリストみたいだよね~

まぁ私が日本人だからってのもあるかと思いますが、人間が特別な存在であるって思ってそうなラストにはちょっとだけ違和感を覚えたのでした。

ダーレンさんはたぶん神秘的なものが好きなんだろうね。いや私も好きだけどさ、不思議なものとか神秘的なものとか。
でもやっぱ人間は、所詮大脳がデカく進化した動物だと思うのね。少なくとも原材料が土くれってことは無いだろうな 笑
MayuShimada

MayuShimada