めしいらず

おやすみなさいを言いたくてのめしいらずのレビュー・感想・評価

3.3
生死の過酷な現場。紛争地帯のリアルを届けたい。戦場カメラマンの主人公が己を衝き動かす使命感に身を捧げるほどに夫が娘たちが草臥れ心離れて行く。人々は世界各地で起きている紛争の真実など対岸の火事のように無関心で、著名人のゴシップニュースを追いかける。主人公は憤る。そんなありようを変えたい。でも安全な場所からでは何も伝えられないし何も変えられない。だから彼女は命がけでその最前線に突っ込んで行く。使命感と家族愛の間にある矛盾。紛争地にいればどうしたって彼女はシャッターを切らずにいられないのだ。それは家族にも理解し得ない。紛争地帯の現実を、母がその現場でどうするのかを目の当たりにした娘はそれを見なかったことにはできない。今までのように人生を太平楽に見られなくなる。家族との間の溝に主人公の心も揺れる。また舞い戻った戦場。娘と同じ年頃の少女が自爆テロに向かう姿に彼女はカメラを向けることができなかった。
自宅での穏やかさと戦場での厳しさの鮮やかな対比。さすがビノシュ。
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