このレビューはネタバレを含みます
大好きなジュリエットビノシュのシリアスな映画。
戦場カメラマンというと、自由な男性をイメージしてしまうが(偏見かも)、この映画の主人公は、夫(イケメン)も娘2人もいる女性。
戦場や紛争地帯の現状を撮影して伝えたいという思いと、愛する家族と共に平和に過ごしたいという思いで揺れる。
平和な暮らしが退屈で…というのではなく、伝えなくてはという使命感が高じて、もはや依存症かというほどにも見える。娘と一緒の時に紛争と出くわし、「いかないで」と泣く娘を置いて撮影に出て行ってしまうシーン、主人公のあの取り憑かれたような表情が印象深い。
主人公の思いを受け止め、ずっと寄り添ってきた夫が、とうとう感情を爆発させた時も、娘から痛烈な言葉を投げられた時も、傷つきながらも自分の思いは変えられないという、なんとも頑固な表情。とってもキュートでありながら、手に負えない感を醸し出すという、ジュリエットらしい演技。
冒頭は自爆に向かう女性の、埋葬の儀式の様子から敵地に向かう所までを撮影しているところが描かれる。静かで厳かで残酷。そしてラスト、同じような場面を撮影しようとした時に衝撃が走る。
とにかく、ジュリエットビノシュが素晴らしい。