我々には、芸能ゴシップなんかよりも知らねばならぬ現実がある。目で見て現実を受け入れる義務がある。普段何気なしに目にしている、新聞やニュースの片隅に載っている一枚の写真も、誰かが命からがら撮ったものかもしれない。報道写真家という存在。そしてそれが女であり妻であり母であった場合。その偉大さと凄さの裏に、どちらの使命を優先すべきかという葛藤との闘いもあるのだろう。
私の母がもし紛争地に赴く写真家だったら、もちろん命を脅かすような場所には行って欲しくないと思うけれど、それが母にしか撮れないものだったらどうだろう。彼女に撮られることを望んでいる人が大勢待っているかもしれないのに。それでもやっぱり、死にに行くような危険な所へは行って欲しくないというのが子供の本音だと思う。
もし自分が報道写真家で、撮らなければいけない現実が刻一刻と深刻さを増していると思えば居ても立っても居られないだろうけれど。
ステフ役の女優さんが素晴らしい。
泣かされた。
