くわまんG

太秦ライムライトのくわまんGのレビュー・感想・評価

太秦ライムライト(2013年製作の映画)
4.5
人を信じて自分を信じて、一生懸命やっていれば、どこかで誰かが見ていてくれる。

みどころ:
福本さん
立ち回りは芝居なんや
萬田久子の珠玉の労い
老若名優のシビれる殺陣
日本人の普遍的美徳“散り様”

あらすじ:
時代劇に必要不可欠な“斬られ役”。50年斬られ続けてきた香美山は、大物俳優やスタッフからも信頼の厚い、縁の下の力持ち。時代劇が下火でも関係ない、彼は常に剣を振る。いつ“斬られて”もいいように。
そんな香美山に唯一人師事したのが、当時無名女優の伊賀さつき。失われつつあった太秦の心技体を伝授された彼女は、一躍スターダムを駆け上がり、今や時の人。
今日も活躍するさつきを、テレビの前から温かく見守った香美山は、振り続けた木剣とぼろぼろの肢体を、静かに置いた……。

悪代官に「先生!」と呼ばれて出てきては、金さんに斬られ、将軍に成敗され、助さん格さんに懲らしめられ、50年間50000回斬られ続けた福本さん。静かに、穏やかに、真摯に、仕事に打ち込み続けた日陰の人。香美山は福本さんそのものなんでしょうね。

その後数奇な巡り合わせを経て、ハリウッドスターからも敬意を払われるまでになった今、ようやく口にした「一生懸命やっていれば…」に嗚咽が止まりませんな。“代表作無し”の男が歩んできた人生に、俳優スタッフ全ての関係者が敬愛を込めてなぞった、魂のドラマとなっております。

「香美ちゃん…お疲れさま。ええ役者はんにならはったね。ほっんま…ええ役者はんにならはった……なあ?」

いやぁ萬田久子にこんなに泣かされるなんてなぁ…笑