風来坊

リベンジ・マッチの風来坊のレビュー・感想・評価

リベンジ・マッチ(2013年製作の映画)
4.0
過去レビュー投稿。

ボクシング界で名を馳せたチャンピオンであり、ライバルだったビームとキッド。世紀のライバル対決は世間の注目を集め、1勝1敗で向かえた3度目の対決はさらに注目されていた。しかし、対決の前にビームが突然の引退を発表し試合はお流れに。そして年月が経ち、いつしか2人の存在は人々から忘れさられていった。そんな2人のリベンジマッチを描いたスポーツドラマ。

「ロッキー」のシルヴェスター・スタローン、「レイジングブル」のロバート・デ・ニーロ。アカデミー賞も受賞した伝説的なボクシング映画の主演の2人の顔合わせで、話題を振り撒いたものの興行的には大ヒットまではいかなかった本作。

スタローンとデ・ニーロの顔合わせはこの頃には普通になったスタローンとシュワちゃんより遥かに新鮮味がある。ボクシングをテーマにしてはいるものの実際は問題を抱える男2人と、取り巻く人々の人生のリベンジを描いていて個人的には好きな作品。

何故にヒットしなかったのかは、まあ…男臭いし、ボクシング映画だし、主演の2人もクセのある俳優だし(好きな人はとことん好きだが嫌いな人はとことん嫌い)そんな所が女性層やファミリー層には敬遠されたのかな。

製作サイドも「ロッキー」と「レイジングブル」を意識して作っていてそれに関するネタが非常に多い。
デ・ニーロ演じるキッドの現在が自分の店でトークショーをしていたりと「レイジングブル」の主人公の晩年に似ていますし、スタローン演じるビームの生卵飲みや食肉工場のシーンやトレーナーのキャラ設定などなど多いです。

それらを知っている人はニンマリ出来ますが、知らない人は完全スルーなので初心者に優しくないとも言えます。

ストーリー的にはスポ根物の王道的な感じです。
人生で問題を抱える人物が目的に向かって努力していく事で大切なものを取り戻して行くというものです。
新鮮味はないもののテーマがシンプルで分かりやすいので好感が持てます。
物語のテンポも良いし、人生訓ものの定番である説教臭さもないし、しみったれた感じが無いのも良い。

しかし、その半面「ロッキー」や「レイジングブル」にある悲壮感や暗さが無く軽いノリが目立ってしまい物語に深みがない。
その辺はコメディ要素のボクシング映画と割りきって観るのが良いかも知れません。

ボクシング映画なのでボクシングシーンが目玉の1つですが、ボクシングシーンはまんま「ロッキー」です。
ボクシングというかただの殴りあいですw

こざかしい事などしない真っ向勝負だという男の熱さが感じられて個人的には好きだが、華麗なフットワーク、オフェンスとディフェンスの攻防や駆け引きなどリアルなボクシングシーンを望んだ人には肩透かしでしょう。

スタローンさんの演技は相変わらずの安定ですが、デ・ニーロさんは流石に上手いですね。
プライドの高いダメ男を好演していますし、何しろデ・ニーロさんが楽しそうに演技してるのが画面から伝わってきました。

久しぶりにキム・ベイシンガーさんを見ましたが、確かに歳は取ったなと思いますが相変わらずこの人は妖艶ですね。

「ロッキー」、「レイジングブル」のネタをふんだんに散りばめてありファンには嬉しい映画ですが、予備知識がないと100%は楽しめない映画だと思うのでそういう意味では人を選ぶ映画かなと思います。
「ロッキー」好きの私には多いに楽しめました。
風来坊

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