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ファーナス/訣別の朝のRyuのレビュー・感想・評価

ファーナス/訣別の朝(2013年製作の映画)
3.7
ペンシルベニア州ノース・ブラドックで暮らすラッセルとロドニーの兄弟。ある時ラッセルがは交通事故を起こし、収監されることになる。ラッセルの収監中に病気だった父は亡くなり、恋人だったリナも保安官のウェズリーと交際を始める。刑期を終えて出所したラッセルは再び製鉄所で働き始める。一方、イラク戦争から帰ってきていたロドニーはボクシング賭博の八百長試合に出るようになる。

個人的にこういう渋い作品はかなり好みです。終始、暗くて地味で、物語も静かに進んでいきます。
主に復讐劇がメインにはなりますが、事の本筋に差し掛かるまでに半分くらいの尺を使っています。前半部分で、キャラクターたちがみんな何か傷を抱えていて、もがきながら生きていることが丁寧に描かれています。少々退屈さを感じたのも事実ですが、これが作品の重厚感を上げてくれていたとも思いました。
後半の復讐劇も決してスカッとするものではなく、事も簡単には運ばないし、最後の終わり方も非常に重苦しい。
キャスト陣もかなり豪華となっております。主人公にはクリスチャン・ベイル。その弟にケイシー・アフレック。インパクトある悪役にはウディ・ハレルソン。他にもフォレスト・ウィテカーやウィレム・デフォー、ゾーイ・サルダナにサム・シェパード と錚々たる面子が名を連ねています。クリスチャン・ベイルはめちゃくちゃカッコいいですね。今作ではもがきながらも懸命に生きる兄を熱演しています。彼の演技も作品の重厚感を高める大きな要因と言えるでしょう。ウディ・ハレルソンの悪役っぷりは凄まじかったです。冒頭から「コイツヤバい」と思わせて、最後まで失速せずにヤバい悪役を演じきっていました。
観てて気持ちの良いものではないですし、娯楽性も少なめではありますが、このダーティーで渋い作風には引き込まれるものがありました。
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