「荒野の誓い」という作品を観るつもりだったけど、同じスコット・クーパー監督×クリスチャン・ベイル主演の組み合わせのこちらが気になったので、先に鑑賞。
プロデューサーには、リドリー・スコット、レオナルド・ディカプリオも名を連ねている。
舞台はペンシルベニア州ノース・ブラドック。寝たきりの父の面倒を見ながら堅実に働く兄ラッセル・ベイズ(クリスチャン・ベイル)とイラク戦争から帰還し、心に闇を抱えた弟ロドニー(ケイシー・アフレック)。ロドニーは、やがてボクシング賭博の八百長試合にのめり込んでいく—— 。
いや〜、渋い。
いぶし銀。
クリスチャン・ベイル。物語に重さを加えるならこの人よね。文鎮ですか?映画界の文鎮ですか?
ケイシー・アフレック。相変わらず声のキーが高いよね。ヘリウムガス吸った?本番前にガス吸った?
イラク戦争還りの弟が、真面目に働きたくても働けない、いつの間にかレールをはみ出してしまった者の悲哀の感情を爆発させるシーンの演技が圧巻で、流石に上手いなと唸ってしまう。
本作のヴィランは、ボクシング賭博の元締めデグロート。演じるはウディ・ハレルソン。冒頭の登場シーンからして、もうヤバいっていうのがわかる。キレたら手が付けられないタイプで怖い怖い。
兄ラッセルが交通事故を起こして刑務所に服役している間に、恋人(ゾーイ・サルダナ)は彼の元を去り、保安官(フォレスト・ウィテカー)の子を身籠るし、弟も裏社会に傾倒していくし、何もかもが変わってしまう。
クリスチャン・ベールからフォレスト・ウィテカーに鞍替えする心情は理解し難いな…。タイプ全然ちゃうやないか!
もっと稼ぎたいとペティ(ウィレム・デフォー)に頼み込んでデグロートを紹介してもらうロドニー。
この、ロドニーとペティが車でデグロートの元に向かうシーンと、ラッセルと叔父が車で鹿狩りに向かうシーンを交互に映し出して、兄弟の運命の行く末が決定的に分かれてしまった様子を暗示させるカット割りも俊逸。
悲しき末路を辿る弟の復讐を誓う兄。
ラストシーンのクリスチャン・ベイルがまたカッコいい!!
地味で淡々とした物語運びがスコアを下げていると思われるが、重さ、渋さが光る秀作。キャストも良き。
個人的には少し加点気味で。