うめ

プールサイド・デイズのうめのレビュー・感想・評価

プールサイド・デイズ(2013年製作の映画)
3.5
 『ファミリー・ツリー』で脚色賞を獲得したナット・ファクソンとジム・ラッシュの初監督作品。口下手で猫背、自分の殻に閉じこもったままの少年ダンカンのひと夏の物語。

 ファミリー・ツリーではハワイが舞台だったが、今作はリゾート地の別荘が舞台。近くに海やプールがあり、皆それぞれに夏を満喫している様子がよく伝わってくる。海、花火、プール…楽しめる要素満載なのに、ダンカンは「ここは最悪だ」と言い浮かない表情。そうしたダンカンの様子とダンカン以外の大人達(ダンカンの母親とその新しい恋人、恋人の友達など)の浮かれ具合が明確に表れていることによって、さらにダンカンの状況や気持ちが浮かび上がっていた。

 そんなダンカンが出会うお調子者のオーウェン。サム・ロックウェルが演じているのだが、これが良かった!『アイアンマン2』の演技を観てから気になってはいたのだが、改めて観てみると、サム・ロックウェルってこんなに色んな表情ができる俳優だったのだなぁと思った。

 もちろん、その他の俳優たちも豪華。スティーブ・カレルを始め、コメディにも人間ドラマにも出演してきた俳優たちが脇を固めているので、安心して観ていられる。特に気になったのは、ダンカンが泊まる別荘の隣にある家の子、スザンナ役のアナソフィア・ロブ。『チャーリーとチョコレート工場』のヴァイオレットをやっていた子がすっかり大きくなって、雰囲気のある子になっていたから驚いた(笑)

 『プールサイド・デイズ』という邦題はおそらくダンカンがウォーターパークで充実したバイトをしている日々を表していると同時に、その先を切り開くダンカンの勇気を表そうとしているのかなと思った。プールサイドでぼんやり観ているだけじゃなく、思いっきりプールに飛び込まなきゃって。私の深読みかもしれないけれど(笑)

 ストーリー展開はなんてことないのだけれど、「学生時代にこんな夏の出会いしてみたかったなぁ」としみじみ思いながら観られた。できれば、あっつ〜い夏の昼下がりにアイスキャンディでも食べながら観たい一作。
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