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やさしい本泥棒のペジオのレビュー・感想・評価

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
3.9
人は物語にとりつかれている

一つ前に観た映画と作風こそ真逆であるが、「観察者の存在」という共通点があった
とは言え、本作は撮り方は割とオーソドックスに登場人物に寄り添う方式なので、観察者たる死神は「ナレーション」によってその存在を誇示するのだが
登場人物たちの死に対する「死神の介入具合」は気になるところで、冒頭の弟の死は主人公に興味をもった死神の仕業なのだろうか?(関連性は少なからずある演出だった。死神が近づき過ぎた事で引き起こされた「事故」という線で僕は観た。)
そんな死神のやさしい無慈悲さのおかげか、単純なジュブナイルとは違う不思議な雰囲気(原作は案外『悪童日記』の様な作品なのだろうか?)

本泥棒をする主人公の動機がそのまま「人にとって物語とは何なのか?」という問いの答えを示す
おそらくは死神が「人にとりつかれている」理由もそれと同じだろう
「人=物語」の図式
だからこそ終盤の「物語を紡ぐ喜び」みたいなのはもっと劇的に描いても良いような気はする

主人公の義父母を演じるジェフリー・ラッシュとエミリー・ワトソンが最高
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