ぶみ

エアポート’80のぶみのレビュー・感想・評価

エアポート’80(1979年製作の映画)
3.0
デヴィッド・ローウェル・リッチ監督、アラン・ドロン、ジョージ・ケネディ共演、エアポートシリーズ第四弾であり、最終作となる航空パニック。
超音速旅客機コンコルドが、不正輸出の隠蔽のため、ミサイルの標的にされたり、爆破されたりする姿を描く。
前作『エアポート’77』が、海底に沈んだ飛行機による密室劇となっていたのに対し、今作は前々作『エアポート’75』を彷彿とさせるようなパニックものに回帰。
ただ、いかんせんその映像が、当時の技術を鑑みたとしても雑であるとともに、現実を無視した荒唐無稽なドッグファイトとなってしまったのは残念なところ。
フランスの名優アラン・ドロンや、シリーズの常連ジョージ・ケネディが出演しているものの、本作の主役は、やはりコンコルド。
私が少年の頃、可動するノーズや、そのスマートでシャープな機体が音速で飛ぶ姿は、異次元のものであり、その裏にあるソニックブームや高コスト、長い滑走路が必要となることや定員の少なさ等のデメリットなど知る由もなく、羨望の眼差しで乗り物図鑑を見ていた記憶が蘇る。
前述のような特異性があったが故に、普及することなく退役してしまったようだが、その様は、速さを追求したが故に汎用性がなくなり、結果として短命に終わった500系新幹線を彷彿とさせる。
正直、物語は凡庸なもので、全体的に漂う古臭さは如何ともし難いが、以前観た『ヒンデンブルグ』同様、コンコルドの勇姿を残した記録映画的な側面を持つ一作。

人生には悲劇も必要だ。
ぶみ

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