おばけシューター

インサイド・ヘッドのおばけシューターのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
4.3
怒りとは撒き散らすものではなく、何かに向けるものなのだ!(モントゥトゥユピー / ハンターハンターより)連載再開が嬉しくてつい関係ないセリフを言ってしまいました。

さておき、遅ればせながらレビュー。
挑戦的なコンセプトでありながらピクサーの良いところが全開の、抽象的でありながら誰もの心に刺さる素晴らしい傑作ですね。いや〜〜めっちゃ良い!

まず感心したのがオリジナルと日本向けでグラフィックが変更されてることで、これはトイストーリーでも背景のアメリカ国旗が地球儀に変えられた例がありましたが、本作は苦手な食べ物がブロッコリーからピーマンに変更されている。
(オレオレさんより、お父さんが観てるTV番組もホッケーからサッカーに変更されてるとの情報。あざっす!)

ライリー個人の苦手な食べ物がブロッコリーという事にして逃げる道があったにも関わらず、子どもの苦手な食べ物といえば日本だとピーマンだろって事で変更したピクサーは本当に誠実。冗談抜きでこんな事するのピクサーだけでは?そして他の国のはどうなってるのか気になる。
(オレオレさんより、ピーマンになったのは日本だけとの情報。あざっす!)

ヘロインを打ってカナシミが霧散しコウコツが現れるシーンなんかはなく、基本子ども向けらしいトラブルや悩みだが、それは確かに深刻な問題で子どもとかつて子どもだったものにはよくわかる内容で、決して他人事として観れない、トイストーリーに近いニュアンスを感じた。ちなみにこのストーリーは監督のピータードクターの実体験が元らしい。ピクサーに入社する時サンフランシスコに越した後、子どもが不安定になって色々と苦労したとのことです。パパはタイヘンだ。

アニメーションのクオリティは当然すごいんだけど特に抽象化の方法にこだわりを感じられ、聞けば90分のアニメコンテを10本作ってブラッシュアップしていったそうで、これだけでいかに練られた製作であるかがわかる。

推測ですがら感情たちの見た目って、ヨロコビとムカムカがより人間に近い形で、ビビリやイカリってモンスターに近い形をしてるのは、後者が扁桃核、つまり動物でも持つ脳の部位からきてる原始的な感情で、前者は人間なんかにしかない前頭葉からきてる人間的な感情だからじゃないでしょうか?
感情以外の脳の構造は、ボール落としのおもちゃのような作りだがメカニズムはあれど制御できない部分があることを絵的にも示せる良いアイディアで、大人や動物だとまた彼らに合わせたデザインになってるのも良い。(猫の脳内キャットタワーなのめっちゃ好き)

いつも安定してハイクオリティな作品を出してくるピクサーですが、ここまでのアウトプットがあるのは素晴らしい。お気に入りの作品が、またひとつ増えました。

ところでこの作品観た後は、誰しもが自分の脳内はどうなってるのか想像するでしょう。

私も一生懸命想像すると、脳内にはヨロコビもカナシミもコウコツもいなくて、しなびたニンジンが転がってるだけでした。

おわり