つかれぐま

インサイド・ヘッドのつかれぐまのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
-
<Inside Out:裏返し>

ピクサー作品の主人公はほとんどが人間以外。今回もまた「気持ち」というカタチすらない概念だ。ハードルを過去最高に上げて挑む、正し過ぎる程のその意気や良し。

概念を可視化するだけでも十分凄いのに、イマジナリーフレンドとか、深層心理とか出てくる多層な面白さ。私のようなオジサンは、あのビンボンに①自分の子供時代のイマジナリーフレンド②自分の子供のそれ③自分自身の姿(子供が育てば要らなくなる存在≒ウッディー)と三つの意味合いを感じながら見てたので、もう泣きそうだった。

思い出のヨロコビだけを残すことにどれほどの意味があるのか?人生は不可逆なのだから「もうそこへは戻れない」カナシミとして受け入れよう。そのほうがもっと深い思い出になる。そういう宝物を増やすことで大人になっていく。

ラストはこう解釈した。ヨロコビもカナシミも可愛かった。

ライリーの年齢(11才)の少女の物語と言えば、ジブリの諸作「魔女宅」「千と千尋」を思い出す。おそらくピクサーもそれらを意識して作ったのだろう。本作は(少なくとも前述のような明快な解を示したという点では)ジブリを越えたと言ってもよいのではないか。