シネオ

007 スペクターのシネオのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.5
ジェームズ・ボンド好きなら、タイトルで期待が膨らんじゃう。1971年の「007 ダイヤモンドは永遠に」以来権利関係で使えなかった、悪の国際的犯罪組織「スペクター」がタイトルなんだからね。なぜ片目の猫好き親玉「ブロフェルド」は、ボンドを執拗に狙っているのか?そんな戦いに、どう落とし前をつけるのか?最近のシニカルなダニエルクレイグの世界観では無理もあるけど、スタイリッシュに解決してくれるんだろうな。


とりあえず最近の3作品「スカイフォール」はもちろん「カジノロワイヤル」「慰めの報酬」は予習しておきましょう。観ていないと、ちょっと難しいです。そもそも4部作の集大成で、カタルシスを得る今作の位置付けだと思います。前出の「スペクター」や「ブロフェルド」まで知識を持っておくなら、ショーンコネリー時代の「ロシアより愛をこめて」や「女王陛下の007」も観ておくと、オマージュも満載で楽しいですね。


で26作目にふさわしく映画は初っ端から凄いスケール感。壮大なエキストラを使った、メキシコシティ「死者の日」の祭典で繰り広げられる、007では珍しい長回しに釘付けです。平和な日常からヤバいスパイの世界へ一瞬に導かれる、コントラスト際立つ壮 絶なアクション。昨今にはなかった、丁寧なアバンタイトルで前半から興奮はマックスです!


お約束通りメキシコからローマ〜オーストリア〜モロッコ〜ロンドンと世界中を駆け巡って、各々の町の特色を生かしたバトルアクションが繰り広げられます。各国ごとのアクション設定は今までになかった贅沢さで、実写にこだわるあまり巨額な制作費が溶けていきます(笑)スパイギミックも満載だし、アクションだけでも鑑賞の価値あり。トムフォードのスーツと眼鏡も、かっこよすぎ!

なんだけど、
難点は浅いストーリと長すぎる尺...。「地獄の黙示録」並みの2時間28分(笑)その尺はディテールに注がれているんだけど、007にどっぷりな人じゃなければ、かなり辛い時間が押し寄せるかも。その割にはストーリーが浅いので、余計長く感じます。彼氏に連れられ観てた若い女の子は、すっかり寝てました(笑)デートムービー向きではないかもね。


これぞご都合主義的すぎる展開も、ちょっと残念でした。しっとりとしたアダルトなトーンに反してコメディ映画を観ているかのような、とんとん拍子なお話。あとね、悪役がそんなに怖くなかった。親玉も小玉も。歴代はもっと狂ってましたぜ。だからドキドキしないんだろうなぁ。

リアルに振り切っても、ミッションインポッシブルの緊張感が出ないのなら、昔のユーモラスでエロいボンド像のほうが、
僕には魅力的な気がします。そういう意味では、ラストシーンは賛否あるでしょうけど、僕は好きでした。
まぁボンドオタクな監督のサム・メンデスとシニカルなダニエルは今作で引退のようだから、また新しい監督のボンド像に期待しましょうかね。

そんなことを差しひいても、上質なスパイファンタジーだし、007シリーズの真骨頂な気分も満載だし、超満足な大作ですよ!

2015.11.28 TOHOシネマズ渋谷