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007 スペクターのishiwasaのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.9
公開日まで待ちきれず、先行上映で鑑賞。
2時間半の長尺にギッシリ詰まったストーリー展開。ダニエルクレイグ版ボンドの集大成です。過去3作の悪役達を束ねていたのが世界中の犯罪を取り仕切る強大な組織「スペクター」。
「ロシアより愛を込めて」へのオマージュですね。
今までの3作の悪役が、タコのマークに招致される"触手"でしかなく、今回はその頭と戦うわけですから、非常に分かりやすく「最終作」のスタイルを取っております。

そして、本作最大のテーマは「死者の存在」。ボンドは死者のメッセージによって動き、その標的はかつて死んだ男である。
ボンドガールも夫、父親という死者によりボンドへ導かれていく。
その象徴がオープニングのおよそ5分の長回しで描かれるメキシコの「死者の日」の祝祭イベント。
僕に言わせてみれば…本作最大の見どころはこのオープニング。5分の長回しからターゲットの追跡、ヘリ内の格闘に至るまで画が決まりまくり、スケール感に圧倒され、映画では前例のないヘリのバレルロールで観客を夢中にさせる!からの、サムスミス!
このオープニングを見るためだけに、IMAX版で鑑賞することをオススメしたい。本作にはそれだけの価値がある。

さて、それ以外のアクションの見どころはと言うと、ローマを舞台にした夜のボンドカーのスポーツカーレースぐらいかも。ローマを高速で走り抜け、あそこまで美しく構成されたカーチェイスは見た事がない。イタリアのカーチェイスという舞台設定にしても、ジョンフランケンハイマー監督の「RONIN」以来かも。その他は過去の007へのオマージュだらけで余り新鮮味はない。けれどもそこは一級品なので若い世代は圧倒的に楽しめるはずです。

でもね、僕はもう少し欲しかった。
クレイグ版ならではの肉弾戦や銃撃戦が欲しかった。サム・メンデスのスカイフォールは007にかつてない画の美しさを加えた革命的な傑作だった。
しかし、シリーズとして4作目ともなるとボンドも成長しているため、初期の頃の荒々しいアクションはもう、やらない。
大体銃でスマートに片付け気味。
スカイフォールの中国のネオンを背景にした優雅な格闘シーンや、燃えるスカイフォールをバックに疾走からのニードロップバキッ!…みたいなアクションがもう一度見たかった…!

と、グチをこぼしましたが、とにかく「紳士なボンド」が観たい方にはそこは存分に描かれていますのでご安心を。
英国紳士の憧れの象徴ですから、どこまでも愛する女性を愛し続けるダニエル版ボンドがここで堪能できます。ヴェスパーで得る事が出来なかった本物の愛をついに手にする事が出来るのですから、女性ファンにはウットリしてもらいましょう。笑
スカイフォールの唯一の不満はボンドガールがジュディデンチだった事ですが、今回は若く美しいレアセドゥーのボンドガールを堪能できます。個人的にマジ好きです。男性ファンも急増でしょう。

総括すると、
総合的にはスカイフォールには劣ります。しかし、過去3作を束ねた最終作としては、有終の美を飾ったと言えるでしょう。
サム・メンデス監督は007の歴史の中に名作を2作も残しました。(葬儀のシーンと会議のシーンの画の緻密さは特筆すべき!)

さぁ、次のボンドは誰かな。
トム・ハーディは無理だろうなぁ…。

鑑賞した人語り合いましょうー!