きたるな

007 スペクターのきたるなのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
4.0
一言感想「リアルに描かれる正統派スパイ映画」
悪の組織「スペクター」の存在を探るジェームスボンド、その過程で自らの封印された秘密に接近する今作、カジノ・ロワイヤルから続く新生007シリーズの集大成的な作品になっている。
仰々しい報告会議から秘密基地までお披露目する犯罪組織スペクター、2006年からリアルな路線を描いてきた007で
どんな風に悪の組織を描写するのかと思ったら、直球なルックでその全貌を映し出してきた。
直球過ぎて、「まあ、実際こんな組織あるのかもしれないよね」的な妙な説得力まである。
秘密会議中にボス登場で会議に緊張が走るシーンや、会議中に部下が粛清されるシーンは半沢直樹感あった。

物語のオープニング、「死者は生きている」という文言がスクリーンに浮かび、その後すぐさまメキシコのハロウィン「死者の日」のお祭りシーンになる。
そして颯爽とジェームズボンドが登場…いつもの007と思いきや、物語は前作、スカイフォールの暗い影を落としていることが要所要所で示されている。
数え切れない程の過去作のオマージュ(あるいはセルフパロディ)で観客を楽しませつつ、MI6の00部門解体の危機とスペクターの暗躍を交互に重ねるという重厚なボリュームで物語は進んでいく。
スパイという東西冷戦の遺物をめぐる、007自身のアイデンティティと、ジェームズボンドの出自についてのアイデンティティ、この二つを表裏一体として物語を語っているように思えた。
冷戦亡き世界、正統派のスパイ映画はどのように描かれるべきか、
ひとつの答えがこの映画に示されている。往年の007が新しい息吹を得て現代に蘇った。