マヒロ

007 スペクターのマヒロのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.5
帰ってきたスペクター!な007シリーズ第24作目。

『ダイヤモンドは永遠に』以降、長らく姿を消していたスペクターがついに復活ということで、傑作『スカイフォール』を作り上げたサム・メンデスがどんな風に料理してくれるだろうと思いながら観たんだけど…悪くは無いけど手放しには褒められない…という感じの仕上がりだった。

まず驚くのはメンデス監督の007フリークっぷりが存分に発揮されたシリーズの「オマージュ」の多さで、あらゆる場面で過去作っぽいシーンが連発されて、ここはあの作品かなぁなんて考えながら観るのは楽しかった。秘密基地や不気味な刺客など、近年では見られなかったぶっ飛び要素が復活したのも嬉しい。

役者陣では、クリストフ・ヴァルツが「いつものクリストフ・ヴァルツ」になる寸前くらいで抑えたゼツミョーにいやらしい演技をしていてよかった。最初の登場シーンでは影になっていてなかなか姿を見せないんだけど、シルエットだけでもアゴの感じでヴァルツだと分かってしまうあたりが面白い笑
後はモニカ・ベルッチも、最高齢ボンドガール(ウーマン?)ということで、今までにないただれた感じのベッドシーンを演じていて非常に良かった。登場時間がモブキャラ並みだったのは残念だったけど。

ただ、これはちょっとなぁと思う場面も結構あって、例えば前述の「オマージュ」も、シリーズを観てきた人にとっては楽しくもあるけど、それと同時に前観たことあるようなシーンであるということでもあって、新鮮な驚きみたいなものはなかった。特に前作『スカイフォール』では上海での戦いやスカイフォールでの籠城戦などの素晴らしいシーンを作りあげていたメンデス監督なので、そこら辺を期待してしまった部分があったかな。ただ、そこは撮影監督が代わったことの影響の方が大きいのかも。
敵のボス・オーベルハウザーとの関係性も、かつて『ゴールデンアイ』で、というか前作『スカイフォール』でもやっていたことで、そこもイマイチ新鮮味を感じられず。

コメディ路線をジワジワ復活させてきてる試みもどことなくぎこちない印象で、例えばジョン・グレン時代の『オクトパシー』『美しき獲物たち』なんかの、そもそも根が真面目な人が頑張っていつものお約束をぶっこんでみました…みたいな感じがした。
とは言え、しばらく見られなかった"おちゃらけ路線"な007シリーズが観られたことは嬉しかったし、今後しばらくはこの路線で続けてみてほしいなぁ。


(2015.252)[38]
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