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007 スペクターのarchのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.4
個人的には微妙。スカイフォールの方が好みだし、アクションはミッションインポッシブルに結構な差付けられてる気がする。
過去作との繋がりはやっぱり燃えるし、スパイをやめて愛する女と共に愛車で走っていくのはカッコいい。でもそういうのはどうしても見慣れてしまっているし、なんならどうせまた戻ってくるんでしょ?って思ってしまう。


一重に007シリーズに思い入れがあまりないせいで楽しめなかったのかなって感じました。
でも役者陣は最高。クリストフヴォルツは悪役やらせたらピカイチだわ。

※2021年9月30日追記
改めて鑑賞するとスペクター=死者をモチーフにして、その死者達が次々と蘇る展開が盛り込まれている。最初の死者の日はもちろん、Mのビデオメッセージから葬式、義理の兄弟であるブロフェルドと久しぶりに名前が上がる過去の悪役たち、そしてヴェスパー。ラストのMI6の"骸"である建物というのも作為的である。
ただその死者達が蘇りこそすれど、そこに一切の恐怖やカタルシスがない。何故ならどれもが後付けであるからで、そして何よりも"ヴェスパー"についてが不鮮明な触れ方をするからだ。
「慰めの報酬」ではヴェスパーを受け入れずに忘れた為に、007は旧態依然とした冷徹なスパイ像に逃げ込んだように思え、正直最低の引き継ぎ方だった。それ故にヴェスパーの件は不完全燃焼で、再びの取り扱いは難しいものになってしまった。

そして今回はヴェスパーは過去の出来事としてリフレインさせてはいるが、結局蘇ってはいないので、本来その蘇らせ方は数あれど最高のカタルシスがあるはずなのに、肩透かしを食らってしまう。マドレーヌはヴェスパーと多少重なれど、そこに対してボンドのアクションがないのでよく分からない印象になる。ヴェスパーと同様にスパイを辞める選択肢を提示した彼女に何も思わなかったのか?
そして本作では引退するが、前作で取り上げた世代交代または"時代"という要素も本作では「スパイは古臭い」として触れられてはいるが、007の引退とは無関係であるため、やはり肩透かしを食らう。

基地での拷問のくだりや全体のアクションも含めて全部不鮮明で肩透かし。死者は蘇れど、全然怖くなくて気まずいだけ。そんな感じ。
完結編として作られた本作、「ノー・タイム・トゥ・ダイ」という完結編を受けて更に残念感を増す作品になってしまうのだが…
なんだかどんどん可哀想になってきた。
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