ヒゲ人類

マッドマックス 怒りのデス・ロードのヒゲ人類のレビュー・感想・評価

4.6
いわゆるぶっ飛んでる映画なのは間違いないんだけど、監督はただの狂人じゃなくて理論武装を限りなく心がけていると知ってなおさら面白味が増した。

強烈なインパクトが全編通してビジュアルを支配していることで派手なアクション映画かと思わされきや、深読みすると面白いメッセージがいくつか汲み取れた。

・楽園(都合の良い環境)など存在しない
・地獄(今の環境)を自分の居場所に変えることが一番の近道
・苦労は逃げると追いかけてくる
・献身的な行為の有無が人間とけだものの違い

社会的につらい環境にさらされている人は多くいるけれども、確かに勤めている会社がつらいからと言って逃げ出すよりもそこに自分の居場所を作ってしまった方が確かに話は早い。
逃げて辞めてもそうそう良い勤務先は確かに見つからない。

マックスもニュークスも始めはけだものとして表現されている。自分の望みのためにだけ行動するし、他者への痛みに関心がない。
けれども物語の進行と相まって女性達の逃走を手助けすることで少しずつ人間味を取り戻していく様は心が動いた。
ニュークスのあの行動は、他のウォーボーイズのそれとは違って献身的行為に他ならなかった。
マックスの血液が他者へ注ぎ込まれることの表現も「血液袋」と呼ばれていた序盤から、最後は自ら「俺の名はマックスだ」と名乗るくだり。
けだものから人間へと変貌したのでしょうか。しびれました。

もちろんそんなメッセージなんか最初は読み取る気もなくただジェットコースターを楽しむように2時間を満喫した。
ダークナイト以来、若いうちにこういう映画に出会えて良かったと思える一作。
ヒゲ人類

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