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マッドマックス 怒りのデス・ロードのfumingのレビュー・感想・評価

4.3
とにかく世界感のスケールと作り込みに圧倒される作品。
海は枯れ、地は裂けあらゆる生命体は絶滅したかに見える荒廃した世界で、運命に争い懸命に生きる主人公マッドと女戦士ヒュリオサの姿には誰しもが生物的本能のようなものを刺激されるのではなかろうか。とにかく「生きることの美しさ」みたいなものを荒々しくも見事に描写した一作だと思う。
本作の特徴は何と言っても、「全編通してほぼワンカット・ワンシーン」。これに尽きるのではなかろうか。場面転換や暗転のようなものが2、3回ほどしかなく、殆ど全てのシーンが同じ画続きとなっていているので常にヒリヒリとした緊迫感があり、手に汗握る展開が二転三転としていく。またそれらの絵作りには一切抜かりがなく、ド派手な演出と個性全開なフォルムのキャラクターやマシンが大暴れしてくれる。日常さを感じる部分を探すほうが難しいほどの内容であり、単純に本作の絵面だけを見ていても飽きないだろう。
シナリオ自体は正真正銘「行って帰ってくるだけ」の超単純なもの。細かい設定等も特に無し。しかし「生きる」というテーマ性がしっかり表れていて、ある意味芯が通ってブレていないといえる。また本作はフュリオサをはじめとした女達の強さが存分に描かれているのも見所。主人公のマッドは強固な意志を持った英雄的な主人公というよりかは彼女達の想いを全うする「代行者」としての役割を務めており、ストーリー進行の要となるのは女達である。したがって、本作は女達が主人公といっても良いだろう。いかにも男子が好きそうなアクションものであるが、女性やカップルでの鑑賞もオススメである。
総評としては、間違いなく怪作である。笑える程にぶっ飛んだ世界観と登場人物達、そして骨太すぎる脚本。しかし観終えた後は確かな満足感と充足感が訪れるであろう一作。悪役イモータンジョーをはじめ、旧作ファンはニヤリとする要素も満載。鑑賞後、貴方も「マッドマックスはいいぞ」と言いたくなること間違いなし。
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