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思い出のマーニーの7eoのレビュー・感想・評価

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
5.0
映画館で10回鑑賞。
誰にでもおすすめ出来るわけではないけれど、私はめちゃくちゃツボを押さえられ心の琴線に触れまくった最高に大好きな映画。

夢だと気づいた時に醒めてしまう夢や、触れると消えてしまう幻のような、とても繊細で綺麗で透き通っていて儚くて美しい作品。

子供の頃に置いてきてしまったような、心の隅に宝箱に入れて大切にしまっていたような感情が、この映画を観た時に鍵をこじ開けられたように溢れ出しました。
映画館で声が出てしまいそうになるのを抑えるほど泣いた。

杏奈はジブリの主人公の中で1番人としてリアルなキャラクター。ひたむきで真っ直ぐに困難に立ち向かう子供なんて実際いなくて、子供の頃って誰もがわがままで繊細で小さい事でも悩んでしまうもの。ちょっとした事で怒ったり泣いたりまわりとぶつかったり。それがよく描かれていた。
まぁジブリ作品ということで子供向け映画だと先入観もたれちゃうことだけが一つだけ残念なところ。

音楽も素晴らしいんです。BGMはすごく清涼感があって作曲家さんの才能に驚かされたし、主題歌はもともとあった曲を選んだようですが、半端なくセンスの良いチョイス。
宮崎駿×久石譲は言うまでもなく素晴らしいんですが、その二人では絶対に作り出せない世界観。
むしろジブリ映画としてじゃなくて良かったのではと思ってしまう。
(私はジブリ作品が好きだけど今作は全くの別物として捉えている)

心を閉ざした孫を心配したおばあちゃんが幽霊になって出てきたっていう解釈をする人は多いかもしれない。
でも私個人の捉え方としては、時代を超えた二人の少女の孤独が共鳴して交わった出会いなのだと思う。
だから杏奈が屋敷で出会ったマーニーはその見た目の通りあくまで少女時代のマーニーで、だからマーニー自身も杏奈との接触をコントロール出来なかったのだと。
そのマーニーが時空を超えた存在なのか、はたまた残留思念的なものか、それとも杏奈が作り出した幻想か、また杏奈がマーニーの記憶の世界に迷い込んでしまったのか…それはわからないけど、何か不思議な力が働いたのだと思う。

なので話のオチのシーンよりも、私が1番心を動かされたのは、許すシーン。見る度にとめどなく涙が溢れる。この映画のテーマは大切な人を許す事だと、私はそう思っています。
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