日活ロマンポルノはやはり世界最高基準レベルなんだと確信出来た私にとってまさに記念碑的作品です。 小沼勝「さすらいの恋人 眩暈」
この作品に出逢えた27歳の1月に阪神大震災が発生し私自身の人生も変換時期を迎えようとしておりました。
男ってのは30が目前に迫ると妙に保守的になるようでサブカルチャーに対してもどこか派手なモンより内にこもりがちな世界を好む傾向が強くなるようです。
この作品に登場する男女はまさに私や当時私の周りにいた女性そのままの姿であり模索と煩悶で出口の見えぬ私に一筋の光明を射仕込んでくれた思い出深い作品です。
もちろん映画的純度で言えば例えばルイ・マル全作品などこの一本の前では完全に崩壊させる世界最高水準レベル。
万が一国際映画祭のレトロペクティブ上映でもされればたちまち小沼ファンが溢れかえること必至の正真正銘の傑作です。
私が授かったのは娘3人なのでポルノというジャンルをなかなか推せない事情もありますがいつか完全に大人になった娘に「どの映画が面白い?」と聞かれたら本作を薦めてみるのも悪くないと思っております。