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(秘)色情めす市場のkekqのレビュー・感想・評価

(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)
3.8
日活ロマンポルノ作品。劇場で観る機会があったので観てきました。

イントロのものすごく味のある会話から、爆音で鳴り響く寺の鐘、にきび面の主人公の顔面アップ、からのタイトルバック。㊙︎色情めす市場。あまりにもドープ。ただならぬ空気に否が応でも期待が高まります。

母娘ゲンカで髪の毛をつかんでカウンターに叩きつけ、頭からビールをかけてラーメンをわしづかみにしてなすりつけたり、母親が娘に向かって「闇夜の夜も、あるんやで!」と殺意に満ちたタンカを切ったりと(かっこいい!)、全編通してひたすらハードコア。
ぐちゃぐちゃの性と暴力が跋扈するド汚い街で描かれるのは、狂気でも監督のアーティスティックなエゴでもなく、ただただその日を生き抜こうとする人たちの姿でした。芸術的な演出も、ここまで人間を描いて初めて血が通うものだということを知ります。

猥雑さで塗り固められた分厚い層の下に、知性とエッジの効いた感性が豊潤にしたためられた秀作。当時の大阪の空気感もビンビン伝わってきます。いろいろ濃すぎて、何ひとつ下半身には訴えかけられませんでした!
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