ボサノヴァ

エクトプラズム 怨霊の棲む家のボサノヴァのレビュー・感想・評価

3.3
エクトプラズムが好きだ。(直球)

幼少の頃の私は、当時どこにでもいただろう、明るくてマイルドなオカルト少年でした。
中でも、外国の心霊写真が好きで霊媒師が床まで到達する白くて長ーいエクトプラズムをボーボー吐いてる写真と、フラッドウッズモンスターの写真(閲覧注意)がブッちぎりで好きで、隠れて見てはウットリしていたものです。そこはかとない「異国感」が良かったんですよね。

大人になってから、そんな事はすっかり忘れていたのだけど、久々に立ち寄ったゲオで、なかなかイイ味を出しているDVDのパッケージに出会い、童心に返ろうと観てみました。

ストーリーは「悪魔の棲む家」系の、引っ越しホラー。実話ベースって、えっ?
時は1980年代。ガンに侵された長男と移り住んできた家には、昔いろいろあって悪霊が棲み着いており、そいつらが住人の寝込みを襲ってはコケ脅すので、眠れやしない。
もちろん引っ越したくなるが、ローンもあるし、病院が近い立地の良さもあって、なかなか引っ越せず、家族のイライラは募るばかり。

とくに父親が、いかにも80sアメリカな、手近なモノに当たりまくる家父長制の権化のような全くの役立たずで、家にあったギターをとつぜん破壊したり(ジミヘンか)、なぜか家中の電球を割ったりして、むしろ悪霊よりタチが悪い始末。

だが、その奥さんがなかなかの肝っ玉母さん(キャンディマンの、ヴァージニアマドセン。貫禄ついたな!)で、頼りにならないダンナを追い出し、かわいい子供たちを悪霊から守る、母は強し系のホラーへ移行していく。

さて、ここまで、エクトプラズム のエの字も出てきていないのにお気づきか。中盤の終わりあたりで、お待たせ、ようやくパッケージの少年が登場し、プラズムタイム。
満を持してグェェ〜と絞り出すさまは、神秘的というよりは、思った以上にツラそう。茶色い色合いも相まって、ほとんど金曜深夜の路地裏の如しであったが、なかなか感動モノでした。

というわけで、エクトプラズム は映画の主題とはあまり関係なかった(キッパリ)ですが、作品の出来は悪くなく、長男の病気の快復を祈りつつ見守る家族の姿に、感動すらしました。ネーミングに釣られた甲斐あり。

ただ、収録されていたメイキングで「ホラーにしては家族ドラマがよくできてるわん」と、ヴァージニアマドセンがドヤ顔で言ってたけど、「ホラーにしては」を何回も言うのには、少しムカつきました。

因みに、マイ・ベスト・エクトプラズムは、漫画ですけど、楳図かずおの「14歳」第1話に出てくる占い師の奴ですかね。そういえば、あれも苦しそうだったな。
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