フランケンシュタインは大学で「生命の創造」の研究にいそしむ学究の徒。
ある日、彼の野望は実現することに。
「人間」を作りだすことに成功したのだ。
しかしその姿は薄汚れた肉塊にも似た醜い生物であった。
「失われた映画」として知られていた1本。
かの発明王トーマス・エジソンが設立した映画社が制作した、怪奇映画史的にも歴史的にも記念すべき1本である。
原題は『フランケンシュタイン』、あるいは現代の『プロメテウス』。
世界初のフランケンシュタイン映画で、現在確認できるフィルムは正味13分ちょっと。
記録では16分。
メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を最初に映画化したのは、あのポリス・カーロフで有名な1931年のホラー映画だと思われがちだが、それより20年以上前に本作は制作されていたわけである。
時間が短く、その中で創造物製造のシーンが長く割かれているが、原作のポイントはほとんど抑えられている。
しかし、メアリー・シェリーの原作とは大きく異なる部分もある。
それは、モンスターは屍体からではなく、鍋の中の化学薬品から作られるからだ。
これが人工的に人間を作り出したフランケンシュタインを、プロメテウス(土から人間を創造)に見立てているわけですね。
むしろ「ホムンクルス」と呼んでもいいかも。
さらに、怪物の外見は毛の生えた妖怪のよう。
ボリス・カーロフが『フランケンシュタイン』で演じたモンスターの造形が、いかに印象的で後年に影響を与えたのかがよく分かる。
また、原作のような怪物とフランケンシュタインがお互いを追い詰めるような形にはなっていません。
映画創成期なので文法が完成しておらず、何を表現しているのか理解に戸惑う部分もあります。
大袈裟過ぎる演技はジェスチャーゲームを見ているようでした。
実はこれ、たったの3日で撮影したらしいから、それは当然のような気もするけれど。
余談ですが、フィルマークスのフランケンシュタインのAmazonのリンクを通ったら、『マミーVSフランケンシュタイン』のページに飛んだんだけど…。