せーじ

女子ーズのせーじのレビュー・感想・評価

女子ーズ(2014年製作の映画)
1.2
252本目。

お待たせしました!第二回地獄めぐりツアーの開催です。
地獄めぐりツアーとは、数多ある映画作品の中で「地獄」だと呼ばれている作品をあえて観ることで、何がどう地獄なのかを考えて文章化していこうという精神的にもヤバそうなオリジナル企画です。
今回は、今までコメント欄に寄せられたリクエストをもとに、独断と偏見で選ばせていただきました。また、どう「地獄」なのかという定義も、前回より拡大していくのではないかなぁと思っております(いわゆる酷評されている作品以外も取り上げていく予定です)
前回同様、だいたい一本おきに評していきたいと思います。

ということで、一作目に選んだ作品はこちら。
フォロワーのBGさんが以前コメント欄で推してくださった、この作品を選んでみました。
早速DVDをプレイヤーに入れて、再生。





…キッツいなぁ…
なんだこれ映画じゃないわ…と思ってしまいました。

冒頭、採石場で暴れている怪人の前にヒーローである「女子ーズ」たちが現れるんですけど、一人まつエクをしていて来ない…というくだりがあるんですよね。もうそれだけで「現代の若い女性(女子)について」や「ヒーローというものについて」そして「映画そのものについて」、浅はかで舐めきっているとしか思えない映画になっていて驚いてしまいました。
こんなもんだろうという姿勢が見え見えなんですよね。
「様々な環境で暮らしている女性たちが、地球を狙う悪に立ち向かうヒーローとして戦う」という題材自体は、それがいくらコメディタッチでもきちんとやればすごく面白いものになると思うんです。アニメですけど、セーラームーンやプリキュアはそれをきちんとやっているから面白い訳ですし。そのうえで、ギャグとなる部分を盛り込んでつくればいいのに、最初からグダグダでいい加減な設定が投げ出されているので、全く物語にノることが出来ませんでした。
戦闘シーンは例えるなら「ごっつええ感じ」のコント「ゴレンジャイ」の劣化版を延々と観させられている感じです。緊張感の欠片もありませんし、何故かいつも採石場でばかり闘いを繰り広げているんですよね。安っぽくってもいいから、街中で怪人が暴れるところを五人が立ち向かうところとか、ヒロインたちの平穏な生活を怪人が阻んでピンチ…みたいなことをやればいいのに、そういう面白さも無いのです。アクションも撮り方と言い、演者の動きと言い安っぽすぎますし、キメポーズのキレすらありません。だから全くカッコよくないのです。…それも、こんなもんだろうという舐めた作りが伺えてしまいます。

でも、いちばん酷いんじゃないかなと思ったのは、作り手の「女子」についての浅はかな捉え方なのではないかなぁと思います。
以下、監督のインタビューを引用します。

「<戦隊モノなのにまちまちにしかメンバーが集まらない>っていう設定が面白いんじゃないかと思ったのがきっかけなんです。どういうメンバーだったらそうなるだろうと考えた時に、全員女子だったらそうなるんじゃないかと。女子の友情って薄っぺらいじゃないですか、怖い発言ではありますが(笑)。うちの奥さんもそうですけど、11時に友達とランチの約束をしているのに10時50分になっても顔洗ってたりする。<遅れるやん>って言ったら<あ、みんな遅れるから。なかには来ない人もいるし>って、男じゃ考えられないですよ」

いやいやいやいや、別に時間にルーズだということ自体は男女関係無いし、それはそもそもそういう緩い繋がりであることを全員が理解しているから成り立つことであって。どういう考え方なんだこれは…と思ってしまいました。
どうやらこの作品は「地球の平和よりも自分の都合を選んでしまうのが今ドキ女子の特徴だ」と言いたいみたいなんですよね。そんな人たちばかりじゃねぇから!となってしまいます。いくらなんでもその認識は、若い女性の方々に失礼すぎます。

※※

強いて言えば、今一線で活躍している女優さん達の、少し前のコミカルな演技が楽しめるのが魅力と言えば魅力なのかもしれません。ですが、そんなものはどうでも良くなるほど、いろんな意味でしんどい作品でした。
特に佐藤二朗さんのくだりがしんどすぎる…あれを作り手が本気で面白いと思っているのだとしたら、本当にどうかしていると思いました。
それでも興味のある方は是非。

やっぱり福田雄一監督の作品は、自分には向いてないのだろうな…
せーじ

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