ちろる

ブルックリンの恋人たちのちろるのレビュー・感想・評価

ブルックリンの恋人たち(2014年製作の映画)
3.3
ブルックリンの夜のネオンや、街の海沿いの堤防とカモメの声、明け方開くカフェのパンケーキの香りや町中に響く音楽たち。
都会なのにちょっと無骨でクリエイティブさの漂う人々が集うブルックリンの雰囲気を集めたような作品。

ストーリートミュージシャンだった弟が事故で昏睡状態になり、海外から戻ってきた主人公が、喧嘩したままだった弟への贖罪からの彼の軌跡を辿るうちにふと恋に落ちる。
弟が尊敬していたジェームスもミュージシャンながらなかなかボヤけた感じの人でその、大人しそうで、色気もなくてあまり印象に残らないアクのなさが、この手のストーリーには珍しい。
主人公アン ハサウェイと彼の恋愛はアンニュイすぎて、正直私には素敵なのかわからないけど、弟の為に彼の生きてきた時の香りや音をかき集めるという描写はなんだか好きだ。

物語全体に沢山の歌が散りばめられていて、皆それぞれの感情を詩に委ねるのはおしゃれなのかもしれないけれど、その行間を読んでお互いのことをわかったようなふりするのはなんだかなー
これがブルックリン式の恋なのだといわれれば私にはブルックリンという街がハードルが高すぎるというのだけはとにかく理解した。

アン ハサウェイがボーイッシュなベリーショートで知的な美しさが際立っていたし、彼女のちょっとダークで抑えめな演技をあまり他の作品で見た事が無かったので、また新しい彼女の魅力を発見できた作品だった。
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