鍋レモン

ザ・ドア 交差する世界の鍋レモンのレビュー・感想・評価

ザ・ドア 交差する世界(2009年製作の映画)
4.9
⚪概要とあらすじ
「偽りなき者」でカンヌ映画祭主演男優賞を受賞したデンマーク出身の俳優マッツ・ミケルセン主演、過去と未来を繋ぐ扉がもたらすパラレルワールドを舞台としたSFサスペンス。

自らの不倫中に娘を事故で亡くし、妻にも愛想を尽かされ全て失った画家のダビッド(マッツ・ミケルセン)。自暴自棄となった彼はある日自殺を試みるが、そこで不思議な扉を発見する。その扉は、娘を失ったあの日に繋がっていた。信じられない思いながらも、ダビッドは扉のあちら側にいる娘を救出することに成功する。ところが、安堵もつかの間ダビッドは不審人物と見なされ襲われてしまい、勢い余ったダビッドは相手を殺してしまうのだが、なんと相手は“もう1人の自分”だった。果たして、ダビッドが辿る運命とは...。

⚪感想
「君は殺される」

少しの不条理さと少しの救いがある物語。タイムトラベルやパラレルワールド、平行世界と不条理や暗い映画が大好きな私としては最高だった。

映像や雰囲気、セット、キャスト、音楽がどこか暗く悲しくて心に響く。

きっと多くの人が「人生をやり直したい」「あの時ああしていたら」と思っているだろうし、「もし過去に戻って過去の自分を殺したらどうなるんだろうか」と考えてしまう人もいると思う。それが上手く表された作品。

内容や展開の作り方が上手く引き込まれる。色んな場面でハラハラドキドキを楽しめる。

過去にタイムトラベルという訳ではなく平行世界。そしてその世界は自分の世界より5年の差がある。
そのせいか内容がかなり分かりやすく、自分を殺しても自分が死なない理由になっている。

個人的にラストは切ないし辛いし悲しいって感じるけど、人それぞれ感じ方が違うかも。私は好きだった。

邦題のは『ザ・ドア』なんかパッとしないのが残念。そのまま感が。

マッツ・ミケルセンがマッツ・ミケルセンを殺す映画はこの作品だけでは!?
マッツ・ミケルセンの色んなお顔が見れるいい作品。違う世界線で娘を助けホッとした時の笑顔が好きだった。
結局願うことは、多くの映画で幸せに恵まれないマッツ・ミケルセンを誰か幸せにして欲しい。

自分が不倫してた間に亡くなった娘。そして5年後、ドアを通り5年前へ。
自分が当時救えなかった娘を救えた主人公。娘は様子が変わった父親に警戒心を抱くけど主人公は今度こそ大切にしようと接し段々と打ち解けていく。
娘が父親の違いに気づくところがまたいい。それからのセリフ。救いではあったのかな。

物語に登場する蝶々。不規則な軌道で飛び、表裏の美しさと影。この物語そのもののような。

観れば観るほどこの作品の虜になってしまう。

⚪鑑賞
午後のロードショーで鑑賞。
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

鍋レモン