朝田

ヒックとドラゴン 聖地への冒険の朝田のレビュー・感想・評価

2.3
異種族との交流を描いてきたシリーズだが、今作ではついに異種族同士の交流を描くに至っている。当然言葉は用いていない。代わりに、繊細な瞳の動きと、仕草を捉えたトゥースとライトフェリーの表情の切り返しによって二匹の関係性が徐々に変化していく様を描いている。これはアニメでしか表現し得ない。見事だった。緑のオーロラがヒッチコック「めまい」的に揺らめくシーンの美しさや、全体のスピーディーな話運びも良い。ただ、前作、前々作と比較すると展開の早急さが目に付く。特に、ラスト付近のある重大な「別れ」を描いたシーンは、ヒック以外の登場人物たちと、ドラゴンとの関係性を描いたシーンが無いため、極めて強引な印象が残る。また、アクションシーンも「人間同士の戦い」と「ドラゴン同士の戦い」で分断してしまっているシーンがあり、最終章としてのカタルシスに欠ける構造になってしまっているのも疑問しか残らない。そもそもこれだけドラゴンが増えているのにも関わらず個々が見た目以外全く同じなので、ラストの展開をドラマチックに演出する上ではもっと特色を出すべきではないのだろうか。
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