愛

未来を花束にしての愛のネタバレレビュー・内容・結末

未来を花束にして(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

初めに思ったのはこの実際に起こった史実がまだ約100年前で、この人達のおかげで今の女性参政権があるのだという事の再確認。
そして、形は違えど女性に対する固定概念が今も根強く残っているということ。

女性参政権を目指した運動に参加した主人公のモードの暮らしの変動が主線で、何一つ悪い事をしていないのに夫と子と暮らす事が出来なくなり、職を失い、住む場所も無くなる。
その中でも7歳から働き、恐らく上司からの性行為などにも耐え、同じ労働をしているのに夫より安い賃金を得ているという自身の経験と、同じように苦しみ自由を望む周りの女性に後押しされ、デモなどに参加する。
彼女のような人は沢山いたと思うし、皆が皆それが出来なかったのは、家族や仕事などの最低限の幸せを失いたくないこと、運動を起こしたところで社会が変わるわけがないと思うからだと思う。だから同じ女性なのに女性参政権をうたう人々を非難し、参加を拒否するのだ。
それでも勇気ある女性達は声を上げ、無視され牢獄に入れられてもなお諦めず、暴力を振るってまでも抗議し続け、その先に女性参政権の獲得があったのだと改めて映画を通して学んだ。
中でも印象に残ったのは、デモに参加し法律が改正せず騒動になり、警察が暴力を振るったところ。
そこで何人かが捕まった際の牢屋での生活、食べる事を拒否して抵抗した時に無理やり鼻から飲み物を入れる事を強要されるところ。
最後のシーンでメアリー?が世界中のメディアに訴えるために見せた勇姿と、彼女の葬儀に参列するたくさんの女性の姿が未来への希望のように思えた。

この時代の思想のベースに女性に参政権を与え政治や裁判などに女性が関わる事で男性の立場が危うくなるという考えが安直すぎる。
何度も彼女達が訴えるように、女性は男性の立場を揺るがそうだとか男性にとって変わって支配してやろうという気持ちは全くなく、男性が当たり前に持つ権利を同じように女性も持ちたいだけなのである。
それは今も昔も変わらないこと。

モードの周りの男性、夫、工場長、警察官、は女性は男性に準ずる立場でなければならない、男性のようになってはいけない、結婚したら妻であり母でなければならない、という男尊女卑的な価値観を持っている。
特に夫は妻を愛しているのに、彼女が女性としての権利を獲得しようとする事を否定し家から追い出してしまうのが理解できない。妻が仮に娘がいたら妻と同じような人生が待っているのだと夫が言うシーンもある。
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